好きな相手を束縛してしまう、本当は離れたいのに離れられないなど、特定の人に依存していることはないでしょうか。

他人への依存心が強い関係性は、共依存になっている場合があります。

共依存する人の特徴や心理、対処法などを解説します。

共依存とは

共依存とは、親子や夫婦など親しい関係にある人が、お互いに依存しあう状態のことです。


依存とは深く愛し合うという意味ではなく、「相手が自分から離れてしまうのでは」「この人は自分がいなければ駄目になってしまう」などの不安、恐怖感から相手の側にいようとすることです。

共依存関係は一見愛し合っているように見えますが、実はお互いが自分自身、そして相手を信頼しきれていないために束縛しあうという悪循環に陥っている状態です。

共依存する人の特徴

世話をする・される関係になっている

共依存では、一方が相手の世話をし、一方が世話をされている状態なのが特徴です。

世話をしている方は、相手は自分がいなければ駄目になってしまうと思い世話を焼きます。

世話をされている方は相手に甘えている状態ともいえますが、強制的に自立性を奪われている状態でもあります。

例えば親子で共依存の場合、親が色々とやってしまうために、子供は何も行動できず自立できなくなっている場合があります。

束縛する

共依存では、一方が相手を束縛しているのが特徴です。

相手が自分から離れて行かないようにするためにあれこれ世話を焼いたり、あるいは病弱なふりをして看病してもらうなど、様々な形で相手を側に置こうとします。


こうした人に対して「自分が助けないと駄目だ」と付き添うタイプの人がいると共依存になります。

コミュニケーションが苦手

共依存する人は、コミュニケーションが苦手なのが特徴です。

コミュニケーションが苦手な人は、自分の気持ちを伝えられないもどかしさから、力任せで相手に何か強要してしまうことがあります。

あるいは言葉で伝えることを諦めていたり、人が怖いなどの理由で、相手の言いなりになってしまう場合もあります。

強要する人、相手の言いなりになってしまう人が一緒にいると、片方が無理を言っても、片方は反対できずそれを受け入れてしまう関係性になり、共依存になっていることがあります。

依存体質

共依存する人は、依存体質なのが特徴です。

元々人や物に依存しやすい傾向があり、アルコール依存やギャンブル依存など、他の依存症を併発している場合があります。

共依存する人の特徴【恋愛編】

相手が自分を助けてくれると思っている

恋愛関係の共依存では、一方が相手を自分を幸せにしてくれる、唯一の存在だと信じています。

相手に対する期待が大きい分、「相手がいなくなってしまったら、自分はもう生きていけない」のように、依存心も強くなります。

そうした気持ちから相手を束縛しようとしたり、見捨てられないように相手の言うことを聞くなどの特徴があります。


こうした人に対して、期待に応えようと自己犠牲してでも相手を助けたり、あるいは何でも言うことを聞かせようとする、暴力を振るうなどの人がパートナーだと共依存に陥りやすくなります。

相手に尽くす

恋愛関係の共依存は、片方が相手に尽くすのが特徴です。

相手に尽くすのは、相手から必要とされたい承認欲求や、見捨てられたくないなどの不安感があるためです。

気持ちが強いほど、自分を犠牲にしてでも相手に尽くしてしまうことがあります。


一方、尽くされる側が「パートナーが何でもやってくれるので、何でも任せれば良い」という考えになると、自立心がなくなり共依存になってしまいます。

DVする・される関係になっている

恋愛関係や夫婦の共依存は、DVの原因になることがあります。

加害者は相手を束縛したり、暴力や暴言などで相手をコントロールしようとします。


被害者は自己肯定感の低さなどが原因で、「怒られるのは自分が悪いから」のように、自分を責めてしまいます。

また、被害者が相手に逆らわないのは「この人は本当は可哀相な人で、自分がいないと駄目だ」と思っている場合もあります。

交友関係が少ない

恋愛関係の共依存は、交友関係がない、または少ないのが特徴です。

お互いに依存しあっているため、他人との関係がおろそかになりがちです。

互いに見捨てられたくない不安感が強いので側にいますが、互いの束縛が強すぎて喧嘩になりやすい面もあります。

依存心の強さから、パートナーを失った場合、深い絶望感から無気力になったり、別のものに依存することがあります。




共依存する人の心理

愛情が分からない

共依存する人は、自分が愛された経験が少ない可能性があります。

親から愛された、大切にされた経験がないなど、自分が愛されたことがなければ、愛情の伝え方や受け取り方も分かりません。

そのため好きな人を無理矢理束縛しようとするなど、不器用な愛情表現しかできなくなっていることがあります。

また愛情を知らないことが不安感につながり、他人に依存する原因にもなっています。

不安感が強い

共依存が起こる大きな原因は不安感があるためですが、不安が起こる原因は人それぞれです。

幼少期に家庭が安心できる場所ではなかった、いじめなどのトラブルがあったなど、様々な原因が考えられます。

過去のトラウマから来る不安感を引きずっていると、依存気質の人は他人に依存しやすくなります。

親も共依存関係

共依存する人は親も共依存であったり、アルコール依存など別の依存症であった可能性があります。

子は親を見て育つので、親が共依存であれば、子供も親の生き方を真似て共依存になることも考えられるでしょう。


例えば父親が暴力を振るう人で、母親が反抗せず従っていた場合、子供もどちらかの姿を真似て、同じような生き方になる可能性があります。

自己肯定感が低い

共依存する人は、自己肯定感が低いのが特徴です。

自分を認められていない人は、他人に認めてもらうために人に尽くすことがあります。


人から評価や感謝されたい気持ちが強い場合、職業も人を世話する医療、介護職などを選ぶことがあります。

共依存の場合、必要以上に相手に尽くすのは愛情というより、承認欲求が強いことの表れです。

共依存をやめる方法

幼少期を振り返る

共依存を克服するには、まず自分の幼少期を振り返ってみましょう。

特に、自分の親子関係がどうだったかを思い返してみてください。

親から愛された記憶がない、認めてもらった経験がないなどの過去がある場合、それが共依存の原因になっている可能性があります。

人に話す

共依存で悩んでいる場合、カウンセリングで相談したり、同じように共依存の問題を抱えている自助グループで話し合うなどの対処法があります。

共依存は、それを経験したことのない人に話しても理解されにくいことがあります。

そのため、同じような経験をしている人と話すことで共感してもらえたり、話し合うことで解決策が見えてくる場合があります。

相手を尊重する

共依存で相手を束縛してしまう人は、相手を尊重する気持ちを意識してみましょう。

どんなに仲が良くても、相手は自分とは別の人間です。

いつでも自分の思い通りになる存在ではありません。

お互い大切な存在だと思っていても、意見や価値観が合わないときもあります。

その違いを受け入れられることが相手を尊重することであり、本当の愛でもあります。


相手との考えの違いを、自分がどうしても受け入れられない場合は、一度距離を置いて自分の心を見つめ直す時期であると考えられます。

自分の意見を言う

相手の言うことに従ってしまう共依存タイプの人は、少しずつでも自分の意見を話すことを意識してみましょう。

人の言うことに従う人は「自分が我慢することで場が収まるなら良い」と考えているのかもしれません。

しかし、我慢を続けているとストレスがたまるだけでなく、自分の本当の気持ちが分からなくなってしまうことがあります。


相手に直接言うことが難しい場合はメールなどで伝えたり、あるいは他の人に相談してみるなど、とにかく自分の気持ちを他人へ伝えることをしてみてください。

自分で決めることを意識する

相手に判断を任せて依存する人は、物事を自分で決めることを意識してみてください。

最初から大きな決断をするのは難しいと思うので、今日食べるものや出かける場所など、日常の些細なことから自分で決めてみましょう。


決断力をつけるときは、成功するか・失敗するかよりも『自分で決める→行動に移す』を繰り返すことが大切です。

自分の価値を認める

共依存を克服するには、自分が自分の価値を認める心を持つことが大切です。

自己肯定感が低い人は、自分で自分を認めていない(自分に駄目出しする)ので承認欲求が高くなります。

「特別な能力などなくても、自分はここに存在していて良い」「駄目だと思う自分の一面も、個性として受け入れる」のように、少しずつでも自分を認めてあげる意識を持ってみましょう。


それは自分を甘やかすことではなく、自分を受け入れることや、気持ちに余裕を持つことにつながります。