配偶者や恋人から何かを強要されて、「嫌だ」と言えずに言いなりになってしまうことはないでしょうか。
配偶者や恋人に対して恐怖感がある場合、DVの被害を受けている可能性があります。
今回はDVをする人の特徴やDVに当てはまる行動をご紹介するので、DV被害を受けている可能性がある方はもちろん、今パートナーがいる方も、これからパートナーを見つける方も、DVを行う人にはどのような特徴や気質があるのか、予備知識としてご参考ください。
DVとは?
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは配偶者や恋人などから受ける精神的・肉体的暴力のことをいいます。精神的DVとは傷付けるような言葉で相手のことを責めるものであり、肉体的DVとは殴る蹴るなどして相手を傷めつけるものです。
また、精神的DVには相手の金銭を管理して行動を制限させる(経済的DV)といったものもあります。
DV加害者になりやすい男女の特徴
最初は優しい・外面が良い
DV加害者になりやすい男女は初対面の相手や、まだそれほど親しくない人には優しいのが特徴です。それは他人が自分をどう見ているのかをとても気にしているからです。
DV加害者はプライドが高く、日頃から自分の評価を下げるような失態を起こさないようにしています。そのため基本的に外面は良く、とてもDVをするような人間には見えません。
モテる
DV男女は人の心の動きを読む洞察力があるので、相手がどうしたら喜ぶかということを分かっています。そのため、相手が自分のものになるまでは親切に優しく接することができるので、異性からモテますし、同性からの評判も良いです。
しかしDV加害者は狙った相手が自分のものになると徐々に束縛するようなことをしたり、相手を傷つけるような言葉や態度を取って弱らせ、相手を支配しようとし始めます。
嫉妬深い
DV男女は非常に嫉妬深い面を持っています。狙った相手が自分のものになれば束縛して自分から離そうとせず、異性、人によっては同性でも自分以外の人と話しているだけで嫉妬に狂い、その怒りを相手にDVという形でぶつけます。
嫉妬深いDV男女はストーカーに発展しやすい気質を持っており、別れた後も付け回される可能性が高いです。
謝る
DV加害者は、傷つける言葉を言った後や暴力を振るった後に謝ったり、プレゼントを買ってくるなど優しい態度を見せることがあります。それは相手の心を自分から離させないためです。
被害者も薄々DVだと分かっていても、好きな人なので冷静な判断ができず、「怖いときもあるけど、でも優しくしてくれるときもある」と考えて加害者から離れられなくなってしまいます。
このようにDV男女は飴と鞭を使い分けて、徐々に相手を支配しようとします。
複雑な環境で育つ
DV加害者になる男女には幼少期に親と離れて暮らしたり、親がよく喧嘩をする、親もDVをしていたなど機能不全家庭に生まれ育った人もいます。
もちろん機能不全家庭に生まれ育った全ての人がDVをするわけではありませんが、一部の人間は機能不全家庭に生まれたことで人の愛し方や思いやりの心が分からないまま成長し、大人になるとDVという形で好きな人を束縛しようとするケースがあります。
DV男女の心理
依存心
DV男女がなぜ親密な関係の相手に暴力を振るうかといえば、それは依存心から起こるものです。DV行為をするのは相手を弱らせて、自分から引き離さないためです。束縛する、暴力を振るうなどのDV行為には相手が自分だけのものになって欲しいという心理があります。
また、DVの暴力といえば女性が被害者のイメージが強いですが、最近では肉体的暴力であっても男性が被害を受けている場合もあります。
普段から気分の浮き沈みが激しかったり、ヒステリックな女性の中には気に入らないことがあると夫や彼氏に暴力を振るったり、物を投げ付けるなどして、自覚のないまま女性がDVの加害者になることもあります。
こうした態度も一種の依存、甘えであり、自分の我がままを聞いてほしい、自分のイライラやストレスを相手に受け止めてほしいという心理があります。
不安感
DVをする人は、愛情のある愛し方ができません。人を大切にすることができないのは、心に不安があるためです。相手を弱らせなければ、自分の方が優位でなければ、いつか自分から離れて行ってしまうのではという不安感があります。
それは相手に何を言われても変わらないほどの強い不安感であり、本当は自信がないことの表れです。DVをするのはその人の気質・育ってきた環境などが原因となっており、親しい関係であっても、他人がDVを止めさせようとするのは容易ではありません。
DV男女の顔の特徴
DVをする人は整った顔立ちをしている、スタイルが良いというようにルックスでモテる傾向があります。容姿が魅力的な人が多いからこそ、被害者はDVを受けても嫌いになれないというところがあります。
また、明るい態度や笑顔を見せることができる外面の良い面を持っているので、人からも好かれやすい特徴があります。ただし、よく見ると目が笑っていない、目がギラリと光っているように見えることがあるなど、目つきに違和感を感じる場合があります。
DV被害者になりやすい人の特徴
自己否定感が強い
DVの被害を受ける人にはいくつか共通の特徴があります。まずDV被害者になりやすいのは、「暴力を受けるのは、自分がいけないからだ」と考えてしまう性格の人です。
暴力を受けたときに自分が悪いからと考えてしまいやすい人は、DVの気質を持つ人にとっては格好のターゲットです。
また、普段は自己否定感を意識しない人でも、相手が好きな人であるからこそ、DV被害を受けても相手でなく自分が悪いんだというように考えてしまいやすいところがあります。
知り合い・友人が少ない
気軽に話せる知り合いや友人が多い人は、DV被害を受けたときに相談することができますが、そうした相手がいない人は受けた被害を一人で抱え込んでしまいがちです。
また、男性が女性からDVを受けている場合は女性より人に相談しにくいこともあり、中々自分から相談することができません。
そして、男性は女性に比べて自分がDVを受けている自覚がない例もあります。例えば妻や彼女から「○○を買ってほしい」と言われて、本当は嫌なのに頻繁に物を購入させられたり、過剰にお金を要求されるのもDVです。
相手から嫌われたくないためについお金を払ってしまう、渡してしまう傾向がある人はDV被害者になりやすいので要注意です。
また、例え交友関係が多い人でも電話やメールを監視されるDV被害を受けている人は、DVについて相談したのがバレるのを恐れて一人で悩んでしまう場合もあります。
正義感が強い
正義感が強い人がDVを受けた場合、相手に「暴力は良くない!」と言い返しますが、これが火に油を注ぐことになり、さらに暴力を受けることになってしまう場合があります。
DVをする人は自分が間違っているということは絶対に認めたくないので、理屈や正論を言って大人しくなることはありません。
かえって逆恨みされる可能性があり、DVの場合は口論だけでなく殴る、蹴るなどの暴力がさらに酷くなることもあるので、対抗するような態度は取らないのが賢明です。
鵜呑みにしやすい
人に言われたことを鵜呑みにしやすい、お人好しタイプの人もDV被害を受けやすい性格です。
例えば「お前が○○だからこうなったんだ」というようにDVを責任転嫁されたとき、人の言うことを鵜呑みにしやすい人は「そうだ。私がいけないからこうなったんだ」と何の疑いもせず言われたことを信じ込んでしまいます。
自己否定感が強い人と同様、人の言うことを信じやすい人もDV加害者にはターゲットにしやすい性格といえます。
DVに当たる行為・チェック診断
以下の行動はDVに当たるものです。該当するものが多いほど、DV加害者になりやすい気質を持つ人です。
特に殴る・蹴るなどの肉体的暴力を一度でも受けたことがある場合は、早いうちに距離を置くようにしましょう。暴力がエスカレートすると命に関わる危険があります。
- 殴る、蹴る、髪を引っ張る、首を絞めるなどの暴力を振るう
- 物を投げつける、刃物を突き付ける、熱湯をかける
- 物に当たる・壊すなどして脅す
- 大声で怒鳴る
- 命令口調で話す
- 無視する
- 人前で馬鹿にする
- 他人の人格を否定する言葉を使う
- 「誰のおかげで生活できると思っている」など相手が無力であるような発言をする
- 他人との付き合いを制限させようとする
- 電話・メールを細かく監視する
- 勝手に大切なものを捨てる、壊す
- 仕事を辞めさせようとする
- 貸したお金を返さない
- デートのときはいつもお金を払わせる
- 生活費を渡さない(夫婦または同居の場合)
- 性行為を強要する
- 中絶を強要する
- 避妊に協力しない
- 暴力行為の責任を押し付けて来る
DV男女への対処法
距離を置く
仲が良くなるほど何となく支配してくるような感じがしたり、心ない言葉や態度を取ってくるようになったら早いうちに距離を置きましょう。DVの性質を持つ人の可能性があります。
一緒にいて嫌な感じや違和感がする人と恋人や夫婦関係になっても苦労が多く、常に相手の顔色を窺うことになり、次第に生きた心地がしなくなります。安心感を感じられない相手はあなたに相応しい相手ではありません。被害に遭う前に距離を置き、連絡もしないのが賢明です。
引っ越す
DV男女に家を知られている場合は、できれば引っ越しするのをおすすめします。DV男女はストーカーの気質を持っているので、あなたが距離を置こうとしても、相手の方から家に押しかけてくる可能性があります。
また、引っ越して物理的に距離を置くことでDV被害者も徐々に洗脳されていたことが自覚できるようになります。
付き合い続けてどうなるか考える
DV被害を受けている場合、このままDVを受け続ける環境にいて我慢すればどうなるか、将来のことを考えましょう。今は我慢できていても、いつか限界が来ます。もし我慢できるまで側にいたいと思ってしまっているなら、既に洗脳されている可能性があります。
DV被害者は相手が好きなために暴力を受けても我慢してしまうことがありますが、その我慢が限界を超えたとき、多くのDV被害者はうつ病・PTSDなどの精神疾患やトラウマを抱えて生きていくことになります。付き合っていた年数が長ければ長いほど、その心の傷を癒すのには時間がかかります。
また、相手と離れることで初めて「どうしてあんな人と我慢して一緒にいたんだろう」と目が覚めることもありますし、そうしてDVに脅えながら過ごした時間を、新しい素敵な相手を見つけることに費やせば良かったと後悔する人もたくさんいます。
DVをする人と付き合い続けても、今もこれからも幸せにはなれないということが理解できれば、自然と相手から離れたいと思うようになるはずです。
相談する
DV加害者に洗脳されている状態だと、自分から離れることができない被害者の人がいます。自分ではもうどうすれば良いのか分からないときは、相談機関に被害を話しましょう。
DV加害者に相談したことがバレないか心配な場合は、心療内科へ相談に行きましょう。病院は医師かカウンセラーが患者と一対一で話す形式になっており、相談内容が漏れる心配はありません。カウンセリングを受けることで第三者からアドバイスをもらえ、自分の状態が客観視できるようになります。
内閣府が運営するDV相談機関には以下のようなものがあります。
配偶者暴力相談支援センター
DV相談ナビ
DV被害を受けたら相談しよう
自分が受けた心の傷がDVなのか分からないときは、まず今まで受けてきたことをメモやノートに書いておき、それを元に専門機関で相談してみましょう。相談して初めて、自分はDV被害を受けていたことに気付く人もいます。
DVは他人からは気付かれにくいので、誰かに助けを求めるにしても、最初は被害者自身が行動することでしか解決できません。DVの暴力に怯えている人こそ、一人で抱え込まずに相談して助けを求めてください。