常に最良の選択をしないと気が済まない、もっと良い選択肢があったのではないかなど、決断するまでに時間がかかることはないでしょうか。
また決断してからも迷う、後悔するというように、なかなか前へ進めない人はマキシマイザーの可能性があります。
マキシマイザーになりやすい人の特徴や心理について解説します。
マキシマイザーとは
「マキシマイザー(Maximizer)」とは、常に最大の利益を求める人のことです。
アメリカの心理学者バリー・シュワルツが名付けたもので、マキシマイザーは最高のものを求めて選択肢を増やしますが、それがかえって幸福度を下げるという説を提唱しています。
またシュワルツは人生の幸福度を上げたいのであれば、「サティスファイサー(Satisficer)」になることを勧めています。
サティスファイサーとは程々の結果で満足し、もっと良いものがあるはずとは考えない人のことです。
マキシマイザーが悪い訳ではありませんが、なぜ幸福度が下がりやすいのか、特徴や心理について解説します。
マキシマイザーの特徴
優柔不断
マキシマイザーは常に最良の選択をしなければならないという気持ちがあるので、決めるまでに時間がかかります。
また決めた後も「本当にこれで良かったのか」「この選択は間違っていたのでは」と気持ちが揺らぎ、決断に自信が持てないのが特徴です。
より良いものを探求して更に選択肢を増やしてしまい、ますます決められなくなる悪循環に陥ることもあります。
正義感が強い
マキシマイザーは正しさに価値を置いているのが特徴です。
自分にとって、あるいは道徳的に正しい、完璧な答えを見つけるまでは動かないというように、納得できるまで答えを探し求めます。
答えを見つけるまで情報や選択肢を集め続けるので、行動に移すまでに時間がかかります。
不満が多い
マキシマイザーは良いものを探し続けることをやめられないため、満足することがありません。
ああすれば良かった、あれを選べば良かったと、不満を抱くことの方が多いです。
幸せを追い求めているのですが、満足できないためにかえって不幸感が増えていきます。
理想が高い
マキシマイザーは最高を求めるので、何に対しても理想が高いです。
より良い物がないかと何時間もかけて買い物をする、より良い人を求めて恋人を次々と変える、婚活を繰り返すというように探し続けます。
その探求には終わりがなく、もっと良いものがあるのではと考えて満足できないのが特徴です。
計画的
マキシマイザーは欲しいものを手に入れるにはどうすれば良いか、熟考してから行動します。
しかし計画を細かく考え過ぎて、少しでも思い通りにならないと不満を抱いたり、もっと良い選択肢があったのではと後悔するのがマキシマイザーの特徴です。
また計画を立てても自信がなかったり、良い結果が得られそうにないと感じた場合、行動する前から諦めてしまうことがあります。
自己肯定感が低い
マキシマイザーは最高の結果を求めますが、何事もそう思い通りにはいかないものです。
そして計画通りに行動できなかったり、成功できていない自分を過小評価し、否定することがあります。
成功するための努力は惜しまないので実力や能力は高くても、自己肯定感が低いために自信が持てないことがあります。
比較癖がある
マキシマイザーはより良いものを求めているので、自分と他人を比較することが多いです。
自分が人より優れている、得していると感じているときは落ち着いていますが、その反対になったときは不安やストレスに影響されやすくなります。
自分の幸福を勝負意識で判断しているので、情緒不安定になりやすいです。
マキシマイザーの心理
損したくない
損することをとにかく嫌う人は、マキシマイザーになりやすいです。
損したくないので常に最高のものを選ぼうとしたり、もっと良いものはないかと探すためです。
自分が損したときにはそのことで悩む、後悔するという面もマキシマイザーの特徴に当てはまります。
不安・恐怖心
嫌な出来事があると大きな不安や恐怖を感じ、それを引きずる人はマキシマイザーになることがあります。
特に一、二度失敗しただけでも「私はいつも失敗する」というように、極端な考え方をする人はマキシマイザーになりやすいです。
二度と同じ思いをしたくないので、より良い、安心できる選択肢が見つかるまでは行動しないというように決断が遅れます。
青い鳥症候群
青い鳥症候群とは理想と現実のギャップに不満を抱き、新しいものを求め続ける症状のことです。
青い鳥症候群の人は自分が持っている、身近にある幸せに目が向かず、理想ばかり追い求めるのでマキシマイザーになりやすいです。
もっと幸せになれるはずだと考えても満足することがないので、かえって不幸感が増していきます。
完璧主義
完璧主義者は少しでも期待通りにならないとストレスを感じるというように、理想の高さからマキシマイザーになることがあります。
一つでも不満が残ると、全て無駄に終わったと感じるような極端な思考、自己否定をする人はマキシマイザーになりやすいです。
負けず嫌い
負けず嫌いの人もマキシマイザーになることがあります。
人に勝ちたい気持ちから理想が高くなり、より良いものを求めるようになるためです。
また負けず嫌いの人は自分と他人を比較することが多く、負けたときにストレスを溜めて自分で幸福感を下げるのもマキシマイザーの特徴に当てはまります。
環境
幼少期からマキシマイザーの傾向がある人は、環境が関係しているかもしれません。
常に良い成績を取るよう求められてきたなど、周囲の期待に応えなければならないプレッシャーを感じていたことはないでしょうか。
親や教師が厳しかったなど失敗が許されない環境にいると、マキシマイザーのような思考になりやすいです。
マキシマイザーをやめたいときの対処法
選択肢を減らす
マキシマイザーは無数にある選択肢の中から一つだけ、しかも最高のものを選ぼうとするので決めるのに時間がかかります。
選択肢は多いほど良いように思えますが、多すぎると悩みが増え、かえって決められなくなることもあります。
選択肢を3~5個くらいまで絞るというように自分でルールを決め、あえて減らすことを意識してみましょう。
またもっと良いものがあるのではないかと、自分から選択肢を増やす行動もやめてみる、手に入れたもので満足するという心がけを持ってみましょう。
時間を決める
マキシマイザーは選択肢を探し過ぎて、決めるまでに時間がかかることがあります。
そのため選択に迷ったとしても、いつまでに決めるか時間を決めておきましょう。
どれだけ選択肢があっても明日には決める、今週中には決めるというように期限を決めて、決めた後は他の選択肢を探そうとしないことを意識してみましょう。
完璧を目指さない
常に100点を求めるのではなく、60~70点でも良しとするというように、許容範囲や期待値を下げる意識を持ってみましょう。
どうしても100点が欲しいとしても、最初から100点を求めるとプレッシャーから行動に移せなくなったり、少しでも思い通りにならないと不満を抱いたり挫折しやすくなります。
30点、80点、100点というように、徐々に改善する意識を持つ方がモチベーションを維持できます。
最初から完璧である必要はないという意識があると、失敗しても落ち込みにくく、次に何をするかを考えて行動に移しやすくなるでしょう。
正しさを求め過ぎない
正義感がある人、真面目な人ほど「~するべき」のような義務感を持っている傾向があります。
「普通は~」「社会人として~」「~でなくてはならない」のような思考が強いと、それが自分を縛りマキシマイザーになりやすいです。
それは自分で作った基準ではなく、親などの影響を受けている場合もあります。
常識では正しいとしても自分の心が望んでいないならやらないというように、自分の意思を尊重することも大切です。
過去について考えるのをやめる
マキシマイザーは自分の期待通りにならないと後悔して引きずるというように、過去に捉われやすいです。
過去の出来事から反省することはないか、今からでもやり直せるところはないかなどを考える方が悩みは減っていくでしょう。
今何をすれば良いかを考える方が、後悔ではなく経験や知恵に変わり、理想に近づけると思います。
損得について考え過ぎない
「塞翁が馬(人の幸不幸は常に変化する)」という語があるように、損得はその時点では判断がつかないこともあります。
今は不運と思ったことで助かり、幸運と思ったことが後の不幸につながることもあります。
また今は損をしても、以前には得したことがあり、バランスが取れていると感じることもあるでしょう。
目の前で起こったことにすぐ反応する生き方はストレスを感じるので、長い目で見る気持ちを持ってみましょう。