何事もはっきりさせないと気が済まなかったり、「~するべき」と決めつける考え方の癖がないでしょうか。
白黒思考にはメリットもありますが、自分のストレスを増やしたり、人間関係が上手くいかない原因になることがあります。
白黒思考の人に見られる特徴や原因について解説します。
白黒思考の人の特徴
区別する
白黒思考の人は、物事を「良い・悪い」「正しい・間違い」のように区別します。
誰でも区別することはありますが、白黒思考の人はそれが極端であり、グレーゾーンがありません。
曖昧なままにしておくことが許せないので、はっきりとものを言う傾向があります。
好き嫌いが激しい
白黒思考の人ははっきり判別するので、人の好き嫌いが激しい傾向があります。
どんな人にも良い・悪い面があると考えないので、良い一面を見ただけで良い人、悪い一面を見ただけで悪い人のように決めつけてしまうことがあります。
また最初は好きな人でも、少しでも嫌だと感じる面を見てしまうと、一気に嫌いになるなど、態度が極端に変わることがあります。
人間関係は「好き・嫌い」「味方・敵」「自分より上か下」などを意識しているのが特徴です。
負けず嫌い
白黒思考の人は何でも勝ち負けで判断することがあります。
普段から「勝った」「負けた」のような発言が多く、何事も勝負として見ているのが特徴です。
他人を敵か味方かで判断したり、マウントを取ろうとする傾向があります。
固定観念が強い
白黒思考の人は、根拠のない決めつけを自分で持っており、それが正しいと信じていることがあります。
また、自分の考えが世の中の常識であるような発言が多いです。
「常識を守るべき」のような考えを持っていると、それを人に押し付けてくることがあります。
~するべき、しなければならないと言う
白黒思考の人は、「~するべき、しなければならない」のような考え方をします。
「人は努力するべき」「ルールを守らなくてはならない」のような決めつけがあり、自分に厳しかったり、向上心が強い人に多い傾向です。
これを他人にも押し付けると、自分の考えが全てだと思っている人、思いやりのない人と思われてしまうことがあります。
集中力の変化が激しい
白黒思考の人は、日によって集中力の変化が極端なことがあります。
高い集中力を発揮できる日もあれば、全く何もできない日があるというように、集中力に大きな差が出ます。
「全力でやらなければならない」のような思い込みがあるので、程々に頑張るということができません。
過大・過小評価する
白黒思考の人は自分のことを過大、あるいは過小評価します。
過大評価の場合は、たとえ実力が伴わなくても自分は素晴らしい人間である思っています。
過小評価の場合は、どれだけ成果を出しても「こんなことは、努力すれば誰にでもできる」のように、自分を大した存在ではないと思っています。
責任感が強い・責任転嫁する
白黒思考の人は責任への対応も極端です。
責任感が強い場合、何かトラブルが起きれば全て自分のせいだと考えます。
責任を背負いたくない人は、すべて他人のせいにしようとするのが特徴です。
白黒思考になる原因
自分の考えを疑わない・周囲に流されやすい
白黒思考になる人は、一度思い込んだことをそのまま信じ、疑わない傾向があります。
疑うことを知らないので、考えが曖昧にならずはっきり分かれます。
また他人が正しいと言うなら正しい、間違いなら間違いと、何の根拠がなくても信じ込んでしまうことがあります。
例えば職場など集団の場であれば、自分が責任者なら自分の言うことは絶対、上司がいるなら上司の言うことは全て正しい、のように盲目的に信じてしまいます。
常に緊張している
人と接するのが怖かったり、ストレスが溜まっていると、常に緊張状態になっていることがあります。
緊張しているときは体も心も興奮状態で余裕がないので、「戦うか・逃げるか」のような本能的な思考が浮かんできます。
対人関係では「勝つか・負けるか」のような闘争心が起こったり、「人前では完璧、立派な自分でいなければならない(だらしない自分は駄目)」のような緊張感が生まれる原因になることがあります。
家庭環境
白黒思考になるのは、幼少期の親子関係が原因になっていることがあります。
親が「○○は良くて、□□は駄目」のような区別する発言が多いと、白黒思考になる可能性があります。
誰でも「○○は良くて、□□は駄目」のように言うことはありますが、白黒思考になる人の場合、親の態度が極端であることが多いです。
例えば「学校のテストでは満点を取らなければならない。それ以外は認めない」のような厳しい育て方をされると、白黒思考になる可能性が高いです。
社会経験が少ない
精神的に未熟な時期には、白黒思考になることがあります。
まだ社会経験が少なく、多角的に物事を考える視点が育っていないためです。
学生時代には白黒思考でも、年齢を重ねて視野が広まることで改善されることがあります。
白黒思考のメリット
判断に迷わない
白黒思考の人は何事も曖昧なままにしておかないので、優柔不断にはなりません。
はっきりと答えを出せるので、決断力や行動力が強みになります。
何かトラブルが起きても判断が早いので、問題解決能力が高い、真面目で意欲的に見られるなど仕事面では評価されやすいでしょう。
高い成果を出せる
白黒思考の人は中途半端を嫌うので、何事も完璧を目指す傾向があります。
自分が納得できるまで試行錯誤できる人のため、仕事では高い成果を出すことができます。
家事も完璧に済ませるなど、私生活にもこだわりがあると気難しいと思う人もいるでしょうが、真面目で信頼できると思う人もいるでしょう。
自信を持てる
白黒思考で上手くいっているときは、自信を持って物事に取り組むことができます。
「自分の選択に間違いはなかった」と思える自信から、モチベーションを保ったまま行動できるでしょう。
このまま成功するだろうと楽天的に考えられるので、心配や悩みに振り回されずに集中できます。
裏表がない
白黒思考の人は考えがはっきりしているので、何を考えているか分からないと思われることは少ないと思います。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと言うので、それがきつい性格に感じられる人もいるでしょうが、裏表がなく付き合いやすいと感じる人もいるでしょう。
白黒思考のデメリット
人間関係が上手くいかない
白黒思考は仕事では役に立つことが多いですが、人間関係ではデメリットをもたらすことが多いです。
白黒思考だと、仕事では成果を出すために何をすれば良くて、何が悪い(無駄な)のか判断しやすいですが、人間関係においては一人一人価値観が違うので、何が良い・悪いかについては、自分だけでは判断できません。
白黒思考で他人の性格や能力を判断したり、自分の意見を押し付けてしまうと、自分基準で何でも判断する人、人の気持ちが理解できない人と思われてしまいます。
情緒不安定になりやすい
白黒思考で判断して順調なときは良いですが、上手くいかなくなると自分を苦しめることがあります。
白黒思考ではない人は何か失敗しても原因を反省したり、次こそ頑張ろうと思いますが、白黒思考だと「自分は駄目な人間だ」「生きている価値がない」のように、極端に自分を責めてしまうことがあります。
また白黒思考の人は答えをはっきりさせないと気が済まないので、すぐに結果が出ないことにはイライラしたり、早まった判断をしてしまうことがあります。
騙されやすい
白黒思考の人は、自分が信じたことを間違いないと思い込み、騙されていることに気付かないことがあります。
一度信用した人のことは疑うことができない、あるいは疑うのが怖いので、自分は騙されていないと言い張ります。
忠告してくれる人のことを敵視することもあり、洗脳されやすいタイプとも言えるでしょう。
視野が狭くなる
白黒思考の人は、嫌いなものや価値を感じないものには全く無関心ですが、それが視野を狭めていることがあります。
無駄、無価値と切り捨ててきたものの中にも、人生を変えるようなヒント、出来事があったかもしれません。
極端な判断は、長い目で見れば人生の選択肢を減らしている可能性があります。
白黒思考をやめたいときの対処法
白黒思考に気付く
白黒思考をやめるには、自分が日頃からどれくらい白黒思考しているかに気付くことが大切です。
特に自分が苦しんだり、他人を傷つけてしまうような白黒思考がないか振り返ってみましょう。
例えば「努力する人は価値があり、しない人には価値がない」のような考えがあると、頑張り続けるのをやめられず、精神的に病むまで自分を追い込んでしまうことがあります。
また他人に「努力するべき」と言っても、そういうことを他人に言われるのが気に入らない人もいれば、疲労・病気で頑張るのが難しい人もいます。
人生観、人間関係に関することで白黒思考があると、コミュニケーションが上手くいかない原因になるので、そうした点に白黒思考がないか見直してみましょう。
価値観を押し付けない
白黒思考の人は、自分の考えが他人にも当てはまると無意識に思っていることがあります。
他人は自分とは違う意見や価値観を持っている存在です。
同じ国に生まれても、生まれ持った性格や、育ってきた環境も人それぞれです。
自分の考えを「皆もそう思っている」「世間では常識」と思うのではなく、人によって考え方は違うと認識することが、認知の歪みに気付くきっかけになります。
「~するべき」という考えを見直す
白黒思考の人は、常識やニュースの情報などをそのまま正しいと信じていたり、根拠がないことを鵜呑みにしていることがあります。
「~するべき」のように思っていることが、本当に自分や周りの人のためになっているのか、考えてみることも大切です。
白黒思考でストレスが溜まったり、人間関係が上手くいかないのであれば、自分の固定観念を疑う視点を持ってみましょう。
自分を認める
白黒思考の人で自分に厳しい人の場合、親の厳しい教育が原因になっていることがあります。
「できる自分は良くて、できない自分は駄目」のような価値観だと、できる自分は認められますが、挫折や失敗を経験したときに自分を責めて落ち込んだり、立ち直るのに時間がかかります。
自分に厳しく、駄目出しばかりしていると自己肯定感が下がっていくので、結果に関わらず頑張った自分を認めることも大切です。
できない自分を認めるのは、自分を甘やかすことではなく、自分を受け入れて大切にするということです。
自分に厳しい人ほどできない自分を認めるのは難しいと思いますが、「できない自分は駄目」→「できなかったとしても頑張った自分は偉い」というように、結果より過程を大切にする意識を持ってみましょう。
白黒思考がある人との付き合い方
トラブルが起こるなら注意する
白黒思考にはメリットもあればデメリットもあり、白黒思考だから悪いというわけではありません。
ただし白黒思考によってトラブルが起こるなら、極端な考えであると指摘してみましょう。
白黒思考の人は自分の考えが常識のように思い込んでいることがあるので、他人から指摘されることで価値観のずれに気付いてくれる可能性があります。
思い込みを指摘する
白黒思考の人は固定観念や思い込みが強く、一度信じたことを疑わない傾向があります。
またネガティブな思い込みが強い場合、怒る・落ち込むなど情緒不安定になりやすいです。
白黒思考の人が悩んでいるときは、根拠があるのか、誤解ではないのか、その不安は今まで現実に起こったことがあるのかなどを指摘してみましょう。
自分の気持ちを伝える
白黒思考の人は、「善か悪か」「0か100か」のような、感情を無視した考え方をする傾向があります。
その考えに疑問を持ったときは、納得できないことを伝えてみましょう。
- 言い方がきつい、冷たい
- 自分の考えがいつも正しいとは限らない
- 他人の事情を理解する気はあるのか
など、疑問や不満に思ったことを伝えてみると、自分が極端な判断をしていたことに気付いてくれる可能性があります。
「どんな事情があろうと、駄目なものは駄目」と言う人もいますが、人によっては指摘されることで自分の考え方に疑問を持ったり、態度を改めてくれるかもしれません。
相談する
白黒思考の人に多い「~するべき」という思考は、職場ではパワハラの原因になることがあります。
白黒思考の人は、極端な考えでもそれが正しい、相手のためになると本気で信じているので、度が過ぎた叱責をしてしまうことがあります。
極端な指導が多かったり、トラブルがよく起こるなら、職場の相談窓口やホットラインに相談してみましょう。