物事が順調に進んでいるはずなのに、なぜか抵抗感や不安を感じたことはないでしょうか。
自分が幸せになることに違和感があったり、幸せを遠ざけてしまう人は、潜在意識に原因があると考えられます。
なぜ幸せな状態を壊したくなるのか、心理や克服方法について解説します。
うまくいくと壊したくなる・幸せが怖い心理
不安感が強い
物事がうまくいくと壊したくなるのは、幸せの後に起きることを心配しているためです。
「幸せの後には不幸が来る」「自分が幸せになっても嫉妬されて壊されそう」のように、幸せの後にネガティブなイメージがあります。
どうせ最後に不幸になるなら、幸せになっても意味がないと幸せになることを拒否します。
自己肯定感が低い
幸せに抵抗感がある人は、自己肯定感が低い傾向があります。
「自分が幸せになれるはずがない」のような潜在意識があるので、幸せになることに抵抗感があります。
過去に幸せを諦めるようになった原因があると考えられます。
自信がない
幸せが怖いのは、幸せな状態を維持できる自信がないためです。
不幸になるのは簡単でも、幸せになるのは難しく努力が必要のように考えています。
幸せでいるために頑張り続けられる自信がないので、最初から幸せになることを諦めてしまいます。
幸せ過ぎるのが怖い
幸せな状態を壊したくなるのは、今の幸せを失うことに強い恐怖感を持っている場合があります。
大切な人を今以上好きになれば失ったときに耐えられない、独占欲や嫉妬に狂いそうで怖いというように、自分をコントロールできる自信がないためです。
自分のせいで相手も苦しむ関係になるかもしれない気持ちがあるので、大切な存在から距離を置こうとします。
同情されたい
幸せを自分から壊す人は、同情されたいと思っている可能性があります。
順調に進んでいることが駄目になれば、周りから可哀想だと同情してもらえることがあるためです。
悲劇のヒロインになることで、人の関心や注目を集めようとします。
過去の不幸を認めたくない
過去の不幸を認めたくない人は、今までの人生が幸せだったと無理矢理思い込もうとしていることがあります。
しかし本当の幸せを知ってしまうことで、今まで自分が不幸だったことを実感してしまいます。
過去の自分が不幸だったことを受け入れたくないので、今の幸せを遠ざけようとします。
相手を信用していない
人間関係が良好に見えても突然縁を切る人は、心から相手を信用していないことがあります。
例えば「金銭目当てで近付いてきたのだろう」というように、最初から相手のことを信用していません。
自分が貧乏になったら相手は自分を捨てるだろうと思っているので、捨てられる前に自分から関係を壊そうとします。
相手を試している
幸せが怖い人は、あえてトラブルを起こすことがあります。
大切な人であっても、相手が困るような、幸せを壊すようなことをわざとして、それでも自分を許してくれるのか反応をうかがいます。
または相手の気持ちを試すのが目的ではなく、わざと相手に嫌われる行動を取って縁を切ろうとする人もいます。
不幸に慣れていると、わざと嫌われて不幸になり、いつもの状態に戻った方が安心感を覚えるためです。
相手に嫉妬している
態度が冷たくなった、距離を置くようになった場合は、相手に嫉妬している可能性があります。
例えば友人や恋人が自分より優れていたり、恵まれていることに嫉妬しているのかもしれません。
相手と自分の境遇が違い過ぎると、自分が惨めに思えてくるので離れたり、嫌がらせをすることがあります。
また嫉妬心からわざと関係を壊して、相手を傷つけさせるのが目的とも考えられます。
うまくいくと壊したくなる人の原因
親子関係
親から無視・否定された、兄弟差別されたなどの体験から「自分は幸せにはなれない」「無能なので成功できない」など、ネガティブな潜在意識を持つようになった可能性があります。
「お前なんか幸せになれる訳がない」のような、親の否定的な言葉を真に受ける子であった場合、幸せになれないというより、「(親の承諾なく)幸せになってはいけない」のような思い込みを抱えている場合もあります。
トラウマ
どれほど仲が良い人でも信用できない場合、過去に大切な人に裏切られたトラウマがあると考えられます。
幼少期に自分を置いて親が家出した、親友や恋人に騙されたなど、親密な関係である人に傷つけられたことで人を信用できなくなっています。
親しくなればなるほど過去のトラウマを思い出し、「どうせこの人も私を見捨てるのだろう」という恐怖心や諦めの感情を抱くので、他人と深い人間関係を築くことを恐れます。
過去のネガティブ感情を解消していない
幸せになることを拒否するのは、過去に感じた怒りや悲しみなどの感情をまだ抱えている可能性があります。
幸せになってしまうと、過去の辛い感情を吐き出す場所がなくなる、あるいはなかったことになってしまうのではという心理から幸せを受け入れられなくなります。
「私は今も苦しいのに、なかったことになるのは許せない」という気持ちがあるので、幸せを感じるとイライラしたり抵抗感が生まれます。
幸せな状態を知らない
幸せを遠ざける人は、幸せな環境を知らないで生きてきた人かもしれません。
虐待やいじめなど過去のトラウマから、不幸であることが普通の状態になってしまう人もいます。
今まで不幸だったので、幸せになれる状況であっても馴染むことができず、幸せを拒否したり壊そうとします。
罪悪感がある
自分に罪悪感がある人は、自分は幸せになる資格がないと思っていることがあります。
「過去に人を傷つけたので幸せになってはいけない」、「家族が苦労しているのに自分だけ幸せにはなれない」のような罪悪感があるので幸せを受け入れられません。
完璧主義・理想が高い
順調に進んでいることを突然壊すのは、完璧主義が原因かもしれません。
大抵の人には何の問題もないように思えることも、完璧主義の場合は些細な不満が生まれた時点で、全て駄目になったと考えることがあります。
人間関係で例えるなら、相手の嫌な面を少し見ただけで、もうその人を嫌いになってしまうというように極端な判断をします。
小さなことでも拡大解釈するので、全てが嫌になり自分から終わらせてしまいます。
ストレス
幸せを壊してしまうのは、普段から我慢しているのが原因とも考えられます。
目標を達成するために我慢し続けたり、こだわりが多い人はストレスを溜めやすいです。
ストレスを解消しないといつかは限界が来るので、イライラしたり、疲労感から問題行動を起こすことがあります。
また積み上げた幸せを壊すことに快感や解放感を覚えてストレス発散の手段になってしまうと、依存性になり同じことを繰り返すことがあります。
幸せ恐怖症の克服方法
幸せな状態に慣れる
幸せに抵抗感が生まれるのは、過去と今の環境に差があり馴染めないためです。
人は本能的に現状維持しようとする性質があるので、誰でも今までの環境と違う状況になれば、それが良いものであっても抵抗感が生まれます。
幸せな状態のときにネガティブな気持ちが湧いてくるのは、過去の影響を受けているからだと、自分の心の状態を知ることが大切です。
そして過去は過去、今は今として、今ある幸せを受け入れる気持ちを持つことで、その環境に慣れていくでしょう。
幸せになることを許す
幸せに抵抗感がある人は、「自分は幸せになれない、なってはいけない」のような思い込みを持っていることがあります。
過去の怒りや悲しみをまだ持っている場合は、「幸せになりたくない」と思っていることもあります。
自分の中にそういう潜在意識があることを自覚することが大切です。
そして「今はもう幸せになっても良い」「自分のために生きても良い」と、自分に声をかけてみましょう。
ネガティブ感情が強いほど、そう簡単に意識を変えることは難しいと思いますが、その場合はそういう自分さえも否定せずに許すことが大切です。
自分のネガティブな面も受け入れようとすることが、自己肯定感を取り戻すことにつながります。
自分のペースで自分のトラウマも含めて全て許す、自分に優しくするというように、自分を大切にする意識を持ってみましょう。
自分の気持ちで行動する
幸せに抵抗感がある人は、他人ばかり優先して自分を後回しにしていることがあります。
しかし、いつもその状態だとストレスが溜まり、我慢ばかりの人生に不幸感を覚えたり、自分に我慢をさせる相手を敵視してしまうことがあります。
自己犠牲してまで人を助けるのではなく、ときには自分のやりたいことを優先したり、やりたくないことは断ることも大切です。
ネガティブな思い込みを手放す
「どうせ自分は幸せになれない」と思っていると、人は無意識に不幸になるように行動してしまうことがあります。
心理学では「予言の自己成就」と言い、不安感から視野が狭くなったり、観察能力が下がるために起こる現象と考えられています。
ネガティブな思い込みがあると、自分自身が不幸になるように行動するのですが、無意識にやっているので自覚がありません。
そして現実化したときには、「やはり自分は不幸にしかならない」というように固定観念を強めてしまいます。
予言の自己成就のループにはまると、自分の思い込みで自分を不幸にします。
人の心にはそういう仕組みがあるので、ネガティブな思い込みは手放していくことが大切です。
叶ったことに目を向ける
自分は幸せになれないと思っている人は、叶ったことよりも叶わなかったことに目を向ける傾向があります。
悪いところに意識を向ける癖があると「自分の人生は不幸ばかり」という固定観念が生まれ、予言の自己成就を引き起こす原因になります。
叶わなかったことより叶ったことを思い出す、日頃の些細な願いが叶っていることに気付く意識を習慣づけると、自分の幸せに気付けるようになります。
理由を説明する
幸せに抵抗感があっても、何も言わずに拒否すれば他人には理由が分かりません。
「こんなに人から親切にされたことがないから、どうしたら良いか分からない」「家族が病気で苦労しているのに、自分だけ幸せになる訳にはいかない」など、正直な理由を話してみましょう。
気持ちを打ち明けることは勇気がいるかもしれませんが、言葉で説明しなければ相手には伝わりません。
自分の気持ちを話すことで、なぜ幸せに抵抗感があるのかが相手にも分かりやすくなります。
決めつけようとしない
完璧主義の人は、人間関係で少しでも相手に不満があると、相手を嫌ったり、縁を切ろうとすることがあります。
しかし現実には完璧な人はいませんし、誰でも良い面と悪い面があります。
例えば行動力がある人をせっかちで落ち着きがないと思う人もいれば、決断が早く挑戦心があると思う人もいるように、良い・悪いも状況や見方によって変わるものです。
他人を嫌いだと感じるときは、相手に原因があるのではなく、自分が相手の印象を悪いように決めつけていないか考えてみることも大切です。
対策を考える
幸せを受け入れられない人は、将来のことを心配して不安になりやすい面があります。
心配事ばかり思い浮かんで「どうせ幸せになれない」と思うなら、どうしたらその不幸を幸福に変えられるか、発想を転換してみましょう。
「この辛さを乗り越えたら、自分は強くなれる」と前向きに考えたり、今から対策や準備をしておくなど、ネガティブであっても、それを活かせば幸せになる道も開けます。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まる環境に長くいると、目標達成することよりも、今の環境から抜け出したい気持ちの方が強くなることがあります。
その結果、大きなミスやトラブルを起こす人もいるので、ストレスは適度に解消することが大切です。
行き詰まったら目標に取り組むことから一旦離れて、自分の状況を見直してみるのも良いと思います。
幸せ恐怖症の人との付き合い方
安心感を与える人になる
幸せが怖い人は人間関係にトラウマを持っており、素直に他人を信用できなかったり、見捨てられてしまうのではという不安を抱えています。
そのため相手の気持ちに共感して、信頼されるような行動や態度を心がけることが大切です。
相手を騙したり、見捨てないことを言葉や態度で伝え続けると、次第に心を開いてくれる可能性があります。
愛情より安心感を与える
幸せが怖い人は、幸せになることよりも安心感を求めています。
安心感という基礎があってこそ愛情を受け取れるので、愛情を伝えるよりも信頼される態度を心がけることが先です。
付き合う側も愛情を伝え続けるのは疲れてしまうので、愛情の深さを伝えるよりも、自分はいつでも味方であるという、見守るような気持ちで接することが大切です。
言葉で説明してほしいと伝える
幸せを受け入れられない人は、自分から距離を置いて大切な人と別れようとしたり、試すような行動を取ることがあります。
行動だけで自分の気持ちを表されても分からないので、言葉で説明してほしいと伝えてみましょう。
言葉で説明するのが怖いので行動で察してもらおうとするのでしょうが、こちらから言葉にしてほしいと言えば、話してくれる可能性があります。
トラウマがないか質問してみる
幸せに抵抗感があるなら、そういう心境になる原因があったはずです。
過去に幸せが怖くなるような経験をしていないか質問してみると、トラウマを打ち明けてくれる可能性があります。
また本人もトラウマを自覚していないことがあるので、話し合うことで自分の心に何が起こっているのか気付くきっかけになります。
否定しない
幸せが怖い人は、他人に傷つけられたり裏切られたなど、苦労してきた人です。
人間不信からネガティブな発言や考え方をすることがありますが、そういうのは良くないと否定したり注意すると、心を閉ざしてしまいます。
そのためネガティブな思考・価値観になるだけの事情があったことを受け入れる気持ちが大切です。
相談されたら話を聞いたり、「今まで頑張ってきたんだね」「これからは幸せになれるよ」のように相手の気持ちに寄り添ったり、励ます言葉を掛けた方が、落ち着いて前向きになってくれる可能性があります。