機嫌が悪くなると無視したり、ため息をつくなど態度に表す人が身近にいないでしょうか。
そうした行為は受動攻撃と言い、わざとやる人もいますが、無意識でやってしまう場合もあります。
受動攻撃とは何なのか、また受動攻撃する人の心理や対処法について解説します。
受動攻撃とは
受動攻撃とは、自分の怒りや不満などネガティブな感情を態度に表すことです。
言葉で伝えるのではなく、無視やため息などで自分の気持ちを表して相手を攻撃します。
会話が苦手など、何らかの理由で相手に上手く気持ちを伝えられない人が受動攻撃する傾向があります。
受動攻撃する人の特徴
内向的・受け身
受動攻撃するのは、言いたいことを言わないタイプの人が多いです。
ネガティブな感情を内に溜め込むので、我慢できなくなると受動攻撃で遠回しに相手に仕返ししたり、不満を伝えようとします。
コミュニケーションが苦手
受動攻撃する人は、自分の気持ちを言葉にするのが苦手です。
自分が相手にどんな不満があるのか、何が嫌なのか、言葉で説明するのが難しいので、受動攻撃で自分の気持ちを察してもらおうとします。
遠回しな言葉が多い
受動攻撃する人は、遠回しな言葉遣いが多いです。
例えば荷物を持ってほしいときに「持ってほしい」と言うのではなく「重いんだけど」と言うように、思っていることをそのまま言いません。
言われた方は察しなければならないので、一緒にいると疲れてしまいます。
約束を守らない
受動攻撃する人は、仕事をさぼったり、時間を守らないなど約束を忘れたふりをします。
受け身なので頼みごとをされたら断りませんが、本心ではやりたくなければ忘れたふりをして何もしません。
わざとさぼることで、相手にやりたくない、自分に何も頼まないでほしいという気持ちを示しています。
やる気がない
何に対しても無気力な態度は、怠けているのではなく受動攻撃の場合があります。
何を言われてもやる気を起こさず、わざと怠けることで自分の意思は変わらないと反抗している状態です。
特定の人の話を無視したり、頼みごとをされてもやる気がなさそうなときは、その人の言うことだけは聞きたくないと思っている可能性があります。
余計な一言・冗談を言う
受動攻撃する人は言わなくても良いことを言い、相手を嫌っている気持ちや不満を伝えることがあります。
また相手に悪口や嫌味を言って怒られても、冗談で言っているだけとからかうような態度を取り、反省する気がありません。
ずる賢い人ほど、悪意があるのか分からないような表現を使って遠回しに相手を攻撃します。
受動攻撃する人の心理
察してほしい
受動攻撃する人は、自分の気持ちを言わなくても察してほしいと思っています。
特に日本人は言葉に出さずともその場の雰囲気で察する感覚が強いため、言わなくても察してほしいと無意識に思っている人は多いです。
自分の気持ちを説明するのが苦手な人、空気を読むべきと考えている人は、普段から受動攻撃している可能性があります。
モラハラ気質
受動攻撃を日常的にする人はモラハラ気質の傾向があります。
「自分の気持ちを周囲が察するのは当たり前のこと」のように考えているので、平然と受動攻撃ができてしまいます。
自分以外の人間を使用人のように扱うため、一緒にいる人は気を遣うことになり精神的に疲れてしまいます。
嫌がらせのため
受動攻撃は嫌がらせなのか、そうでないのかが分かりにくいので、陰湿な人は嫌がらせの手段として使うことがあります。
嫌いな人の前でわざとため息をつく、聞こえなかったふりをして無視するなど、ネガティブな態度をわざと取ることで遠回しに嫌がらせをします。
仕返ししたい
受動攻撃を仕返しの手段にする人もいます。
例えば嫌いな人に仕事を頼まれたらわざと忘れたふりをする、ミスするなどで迷惑をかけて相手を困らせようとします。
やらなければいけないことを放棄すれば自分の評価も下がりますが、嫌いな人にどう思われても構わないと思っていたり、仕返しできるなら自分はどうなっても構わないと思っている人は受動攻撃します。
劣等感
受動攻撃する人は、自分と他人を比べて劣等感を感じている場合があります。
プライドが高い人は嫉妬心を剝き出しにすることに抵抗があり、嫉妬していることを認められないことがあります。
そのため表面上は気にしていないようでも受動攻撃したり、ライバルの邪魔をしようとします。
無意識
受動攻撃を無意識にやってしまう場合、育ってきた環境に原因があることが多いです。
例えば親が支配的な性格の場合、直接不満を言うことが許されなかったため、受動攻撃で親に反抗してきた場合があります。
あるいは親が受動攻撃する人で、その態度を真似て受動攻撃する癖がついてしまっているとも考えられます。
受動攻撃の例
無気力
受動攻撃の一つは、わざと何もしないことです。
仕事をさぼる、引きこもるなど、やらなければならないことをわざと放棄します。
そうすることで嫌いな人を困らせたり、無言で不満や反抗心を訴えます。
不機嫌を態度に出す
イライラしている感情を態度に表すのも受動攻撃です。
イライラすると無視する、物を乱暴に扱う、貧乏ゆすり、爪を噛むなどの行為は、周りの人にも影響を与えることがあります。
また言葉では説明できない不安や怒りなどを自傷行為(リストカット、過食・拒食、働き詰めて休まないなど)で表すことがあります。
マインドコントロール
人に尽くし過ぎる、何でも先回りしてやってしまうというのも、受動攻撃になる場合があります。
過干渉な人は相手の意思に関係なく手助けしたり、先に問題を片付けてしまうことで、相手の自主性や自立心を奪おうとします。
「あなたは頼りないので、誰かの助けがなければ何もすることができない」と思い込ませようとする人です。
親切なようで、マインドコントロールして自分の思い通りにしたいという支配欲があります。
受動攻撃の直し方
原因を考える
受動攻撃する人は、正直に不満を言えない環境で育った人が多いです。
親に怒りを表したら罰せられた、あるいは話を聞いてもらえなかったというように、正直な気持ちを受け入れてもらえなかった場合、それが受動攻撃の原因になっていることがあります。
受動攻撃するようになった原因を自覚し、今までとコミュニケーションの仕方を変えてみようとする意識が大切です。
言葉で伝える
受動攻撃のように遠回しな表現ではなく、言葉で伝えることを意識してみましょう。
受動攻撃だと自分の気持ちが正確に伝わらず、相手は嫌がらせをされているように受け止めてしまう可能性もあります。
誤解されると更に人間関係が悪化してしまうので、言葉で上手く説明するのが苦手でも「こういうことをされたら傷つく」「そう言われるのは嫌だ」のように、自分の感情だけでも言葉で伝えるようにしてみましょう。
別のストレス発散法を見つける
受動攻撃という形で相手を攻撃するのではなく、別のストレス発散法を探してみましょう。
受動攻撃する人は普段から不満を表に出さず、ストレスを内に溜め込む傾向があります。
運動する、趣味に没頭するなど自分が楽しめることに集中する習慣を持ち、ストレスを溜めないことが大切です。
デメリットを考える
受動攻撃を続けている人は、最終的には孤立します。
なぜかいつもイライラしており、その理由を説明せず、遠回しに攻撃してくる人がいたら、そのネガティブさは周囲にも影響を与えます。
受動攻撃を続けていると何を考えているのか分からない人、近くにいると気を遣うので疲れる人と思われて警戒されるようになります。
他人からそういう目で見られているのかもしれない、いずれ見放されるかもしれないという危機感を抱けば、受動攻撃をやめようと思うきっかけになるでしょう。
受動攻撃されたときの対処法
言葉で説明してもらう
自分の気持ちを察してほしいので受動攻撃する人には、言葉で説明してほしいと伝えてみましょう。
こちらが察して先回りしてしまうと、受動攻撃すれば分かってくれると思うのでやめてくれません。
不満があるなら言葉で説明してほしいと伝えるか、こちらから質問してみましょう。
質問する
受動攻撃される原因が分からないときは、「もしかして怒ってる?」のように質問してみるのも対処法です。
受動攻撃する人は自分の気持ちを簡単に明かさない人なので、正直な理由は話してくれないかもしれません。
しかし、相手の気持ちに気付いていることを伝えたり「嫌なことがあったら言ってね」のように声かけしておくことは大切です。
こちらが相手の気持ちを受け入れようとしていることを伝えておけば、後から自分の気持ちを話してくれる場合もあります。
やめてほしいと伝える
受動攻撃を無意識でやっている人もいるので、やめてほしいと伝えることも大切です。
ため息や貧乏ゆすりなどは、ただの癖で受動攻撃ではないこともありますが、いずれにしても指摘されて初めて気付く人もいるので、不快なのでやめてほしいということを伝えてみましょう。
自分の意思で行動する
親切にしてくれる人でも、それが過剰な場合は受動攻撃の可能性があります。
何でも面倒を見てくれる、先回りして問題を片付けてくれる人がいると、その人に依存して自主性を奪われることがあり注意が必要です。
優しさを装って他人を支配しようとする人もいるので、親切過ぎる人や過保護な人だと感じたら、自分の意見をはっきり言うか、距離を置くことをおすすめします。
人の話を聞く
受動攻撃されることが多い人は、普段から人の話を聞いていない可能性があります。
言葉で言っても伝わらない人だと思われているので、遠回しに受動攻撃という形で反抗されているとも考えられます。
会話中に相手の話を遮ったり、否定から入るなどの癖がないか、振り返ることも大切です。