トラブルが起こると自分は悪くないと言い張る、責任転嫁するなど、被害者のように振る舞う人が身近にいないでしょうか。
被害者意識が強い人は思い込みが強く、何でも自分が被害を受けたように解釈する人です。
なぜ被害者意識が生まれるのか、心理や特徴について解説します。
被害者意識が強い人の特徴
責任転嫁する
被害者意識が強い人は、責任転嫁する傾向があります。
自分が悪くても「私は悪くない。あの人が○○したから…」のような、自分が被害者であるような言い訳をします。
絶対に自分が悪いとは認めず、言い訳を繰り返すのが特徴です。
愚痴や悪口が多い
被害者意識が強い人は、日頃から愚痴や悪口を話しています。
自分が不幸なのは周りの環境や人間関係に原因があると考えており、その不満が愚痴や悪口となっている人です。
自分は被害者だと思っているので、自分の行動を変えるのでなく周りが変わるべきと考えています。
過去の話をする
被害者意識が強い人は、過去の嫌な出来事を覚えています。
そして誰かを責めたり言い争うときに、過去の出来事も持ち出すなど、恨み言を吐くのが特徴です。
何度も過去の話をすることで、自分が被害者であることを強調しようとします。
才能やセンスのせいにする
被害者意識が強い人は、物事が上手くいかないと才能やセンスのせいにします。
自分に能力がないと思うとすぐ諦めてしまい、「自分に能力がないのは親や家庭環境のせい」「才能やセンスがある人のせいで自分がみじめに思える」のような被害者意識を持ちます。
依存的
被害者意識が強い人は、他人に依存的です。
自分のことを分かってほしい、自分の願いを叶えてほしいなど、他人に何かを要求する気持ちが強い人です。
人が自分の期待に応えてくれないと相手を責めるなど、自分だけ損害を受けたような態度を取ります。
感情的
被害者意識が強い人は、感情的になる傾向があります。
自分が被害者だと思うとイライラしたりヒステリーを起こす、泣くなど感情的になるのが特徴です。
感情に走るのは思い込みが強いか、わざと感情的になって事実をごまかそうとしている人です。
理想が高い
理想が高いと、被害者意識が生まれることがあります。
自分は高い能力を持っていると思っているので、上手くいかないと自分のせいではないと考える人です。
理想と現実のギャップを受け入れられず、環境や誰かのせいにしようとします。
自己中心的
被害者意識が強い人は、自分ばかり被害を受けていると考える人です。
例えば道で人にぶつかっても相手だけ悪いと考えたり、自分が悪いことをしても「皆やっているのに、なぜ自分だけ怒られるのか」と考えるなど、自分の都合ばかり考えます。
自分のことは大事にしますが、他人には思いやりのない人です。
繊細
繊細な性格が被害者意識を生み出すこともあります。
例えば人に少し注意されただけで「嫌われた」と思い込むなど、相手の態度に過敏に反応します。
特に他人の態度をネガティブに捉える人は、被害者意識を持ちやすいです。
弟・妹育ち
被害者意識を持つのは、弟や妹育ちが関係している場合があります。
例えば兄弟間で喧嘩すれば、親から守ってもらえるのは幼い方であることが多いです。
「兄や姉のせいにすれば良い」「被害者でいれば守ってもらえる」という幼少期の環境が、被害者意識を生み出していることがあります。
被害者意識が強い人の心理
トラウマがある
被害者意識が強い人は、過去にトラウマを持っている可能性があります。
自らトラウマについて話す場合は、自分の感情を分かってほしい、同情してほしい気持ちがある人です。
注目を集めたい
人の目を引くため、わざと被害者のように振る舞う人もいます。
悲劇のヒロインになることで同情を集めたい、人に助けてもらいたいと思っている人です。
こうした人は自分の不遇さやトラウマなど、不幸話を自分から話す傾向があります。
楽だから
被害者意識を持つのは、被害者でいた方がメリットが多いからです。
自分が被害者であるように振る舞えば、同情してくれる人もいるでしょう。
被害者でいれば努力しなくても良い、周りが味方してくれるなど、被害者でいた方が都合が良いからです。
プライドを守るため
被害者意識が強いのは、プライドの高さが関係していることがあります。
世間や他人が悪いと思っていれば、自分は悪くないと思えるからです。
プライドが高い人ほど自分の非を認めない傾向があり、責任転嫁しがちです。
ごまかしたい
被害者意識が強い人は感情的になることがありますが、それは状況をごまかそうとしていると考えられます。
例えば自分が悪くても泣くことで責任追及されるのを避けたり、相手の怒りの感情をなくそうするなどです。
論理的に追い詰められるなど、どうにもならなくなると感情に訴えて、被害者を演じようとします。
自己肯定感が低い
自己肯定感の低さが、被害者意識を生み出すことがあります。
「自分は無力だ」のような潜在意識があると、自分の周りにいる人達が優秀な人や幸せそうな人に見えてしまうことがあります。
自分と他人を比べて劣っていると感じたときに、「どうして自分だけ恵まれないのか」という被害者意識が生まれます。
自覚がない
被害者意識が強い人は、自分が被害者のように振る舞っていることに自覚がない場合があります。
たとえ自分に非があるとしても、自分に原因があると本気で思っていない人です。
自己愛や思い込みが強いので、事実を自分の都合良く解釈して被害者であるように考えます。
被害者意識が強い人の末路
人が離れていく
被害者意識が強い人は、自分に非があっても周りのせいにするので、次第に人が離れていきます。
被害者意識が強い人の側にいると責任を押し付けられたり、要求ばかりされるなど、ろくなことがないからです。
自分の態度が原因で孤立していきますが、被害者意識が強いとそれすら自分のせいではない、周りが冷たいからだと都合良く解釈することがあります。
信頼されない
被害者意識が強い人は責任転嫁したり、愚痴や悪口ばかり言っているので、人からの信頼を失います。
自分は悪くないと言い、周りに不満をぶつけている人に責任感があるとは思えないからです。
信頼性の低さは重要な職務を任せてもらえない、人から嫌われるなど自ら不幸を招く原因になります。
自立できない
被害者意識が強い人は依存的ですが、その状態を続ければ自立できなくなります。
人にどうにかしてほしいと要求すれば楽だったり、責任逃れできるかもしれません。
しかし、それは自分の選択肢を他人に委ねていることでもあります。
自立心のなさは、どのような結果になろうとそれを受け入れるしかないリスクを持っています。
人間不信になる
被害者意識を持ち続けていると、次第に人間不信になっていきます。
自分は被害者だと思い続けることで、他人が自分の邪魔をしてきたり、攻撃してくる存在だと思い込むようになるからです。
周囲が敵だらけだと思うと自分を守ろうと過敏になり、被害者意識が強まる悪循環を生みます。
被害者意識を直したいときの対処法
自分が変わる
周囲に不満がある人は、周りを変えようとするより自分の意識や行動を変えてみましょう。
今の自分の環境や人間関係は、自分の心理を映す鏡のようなものです。そこに不満があるということは、自分の何かに不満があると考えられます。
環境に不満があるなら自分が別の場所へ移動する、人間関係が嫌なら自分が一緒にいたいと思えるような人に、まず自分がなるなど意識を変えてみましょう。
類は友を呼ぶという言葉の通り、自分の意識が変われば環境や人間関係も変わっていきます。
被害者意識に疑問を持つ
被害者意識を持ちやすい人は、自分のその意識に疑問を持ってみましょう。
例えば誰かに何か注意されたとき、被害者意識を持つ人は「邪魔をされた」「嫌われているんだ」のような思い込みを持つことがあります。
しかし、相手はあなたが危ない目に遭うのを避けるために忠告してくれているのかもしれません。
被害者意識が湧いてきたときは、それは自分の思い込みではないのか疑問を持ってみましょう。
愚痴や悪口を言わない
愚痴や悪口を言う癖がある人は、なるべく言わないよう意識してみましょう。
愚痴や悪口を言うとその場ではすっきりするかもしれませんが、自分が被害者であるような意識が強まります。
愚痴や悪口でストレス解消するのでなく、趣味を楽しむなど、ポジティブな解消法を探してみましょう。
不満があれば言う
被害者意識が強い人は、不満があってもそれを相談しないことがあります。
不満を溜め込むと「私はこれだけ我慢しているのに」という被害者意識が生まれます。
不満があれば本人に話したり、本人に言いづらいことであれば友人やカウンセラーに相談するなど、一人で抱え込まないことが大切です。
我慢が長引くほど相手に敵対心を抱くため、相談したり距離を置くなど、不満を解消する方法を考えてみましょう。
トラウマを前向きに捉える
「トラウマがあるので人生が上手くいかない」のような被害者意識がある人は、少しずつでもその意識を変えてみましょう。
トラウマのために被害者意識を持ち続けることは、トラウマに振り回されて生きるということです。
「トラウマがあるから変われない」より、「トラウマがあるからこそできることがある」と建設的な方向に考えてみましょう。
助けてほしいと言う
助けてほしいと言えない人は「どうして○○してくれないの?」のような不満をぶつける形で他人に助けを求めます。
相手を責めるような言い方は「自分は悪くない。私の期待に応えてくれないあなたが悪い」と伝えているのと同じです。
そうした態度が、人から被害者意識が強いと思われる原因になります。
助けてほしいときは、素直に助けてほしいと言うことが大切です。
人助けする
被害者意識がある人は無意識に自己中心的になっていることがあります。
自分のことだけ考えるのでなく、人の気持ちを考えたり、困っている人がいれば手助けすることも考えてみましょう。
自分が人助けすることで、人を支えることの大変さや、感謝されることの充実感など、自己中心的に生きていては知らなかった世界や人間関係を知ることができます。
被害者意識が強い人への対処法
認めて関わらない
被害者意識が強い人は悲劇のヒロインのように振る舞うことがありますが、関わりたくないときは「大変だね」のように寄り添う姿勢を示しましょう。
「あなたにも悪いところがある」のようにはっきり言うと、被害者意識が強い人は感情的になることがあります。
相手の言い分を認めつつその場を離れるなど、なるべく関わらないようにしましょう。
意見は提案として言う
被害者意識が強い人は、他人に反論されると自分を否定されたように感じることがあります。
もし反対意見を述べるなら「○○した方が良いと思う」のように提案する形で言ってみましょう。
質問する
被害者意識が強い人は、被害者でいるために事実を誇張したり噓をつくことがあります。
言っていることが怪しいと感じたときや責任転嫁されて納得できないときは、疑問に感じた点を質問してみましょう。
嘘をついている場合は、以前と違うことを言う、無理な言い訳をするなど、話に辻褄が合わなくなります。
「この人には嘘が通じない」と思わせれば、相手の方から距離を置いてくれるようになるでしょう。
責任者を明確にする
被害者意識が強い人とはなるべく約束をしない方が良いですが、どうしてもしなければならないときは責任者を明らかにしておきましょう。
口約束にすると責任転嫁される可能性があるので、書面にするなど形として残すことが大切です。
話を聞く
被害者意識が強い人の気持ちを知るには、事情を聞いてみましょう。
被害者意識がある人は、トラブルがあるとまず自分の不満や不幸について話すことが多いです。
その際は、受け入れる姿勢で話を聞くことが大切です。途中で口を挟んだり、否定的なことを言うと更に被害者意識を強めてしまうことがあります。
一通り話し終えたら、「あなたはそう思っているが、こういう解釈もできると思うよ」「相手にもそうせざるを得ない事情があったのでは?」のような、相手が気付いていないことを話してみましょう。
素直な人であれば「言われてみれば私の思い込みかもしれない」「私にも悪いところがあった」と、自分の意識を改めてくれることがあります。