あなたの身近に同調圧力をかけてくる人がいないでしょうか。

同調圧力に従うと、自分の意思がなくなり危機感が薄れるなどデメリットがありますが、団結力が生まれるメリットもあります。

同調圧力をかける人の心理や原因、対処法などを解説します。

同調圧力とは

同調圧力とは、少数より多数に同調する、集団の間で生まれる心理的圧力のことです。

同調圧力は大衆の意見を押し付けられるイメージがあるかもしれませんが、同調圧力が生まれる状況、環境によって良くも悪くもなります。

同調圧力は大勢の考えがそのまま力を持つこともありますが、誰かの意見がきっかけでそれに賛同する人が集まり力を持つこともあります。

なぜ同調圧力をかける人がいるのか、心理や原因について解説します。

同調圧力をかける人の心理

協調性や常識を重視している

同調圧力をかける人は、皆同じが良いと思っている人です。

皆と違った行動を取る人は協調性がない、チームワークを乱すと思うので圧力をかけます。

また常識やマナーを重視しており、それを他人にも押し付ける人も同調圧力をかける人と思われます。

安心感を得たい

同調圧力をかける人は安心感を得たい人です。

身近に自分と考えや行動が違う人がいると不安になるので、同調圧力をかけることでその場を統一させようとします。

支配欲

支配欲が同調圧力を生むこともあります。

特定の誰かに自分の言うことを聞かせたいなど、自分の思う状況に持ち込みたいとき、同調圧力をかけることで思い通りにしようとする心理です。

根も葉もない噂を流して嫌いな人を貶めるなど、邪魔な存在を排除するときに同調圧力が利用されることもあります。

羨ましい

同調圧力をかける人は、相手を羨ましいと感じていることがあります。

皆とは違うことをしている、自分のできないことをしているなど、独断で行動できる人に嫉妬している人です。

嫉妬心から同調圧力をかけ、皆と同じような行動を取らせようとします。

正義中毒

同調圧力をかける人は、正義中毒になっている場合があります。

例えば「働かないのは悪」のような考えを持っている人は、どのような事情があっても働かない人を批判します。

無職には怠けだけでなく病気、家庭の事情など様々な理由がありますが、正義中毒になっている人は善悪でしか判断しないので、それぞれの事情を考えることができません。

暇がある

同調圧力をかける人は、周りを気にする余裕がある人です。

自分のやりたいことに集中していれば、周りが何をしているかなど気にする時間はない筈です。

同調圧力をかける人は周りの様子を気にしており、大多数が良いと思っていることを正しいと考えます。

多数決で決める

同調圧力をかける人は、多数決で物事を判断します。

皆が賛成していることに賛成し、反対することには反対するという、周りに流される人が次第に増えることで同調圧力が生まれます。

自分の意思がなく、周りに従っていれば安心、間違いないと考える人です。

責任を取りたくない

同調圧力をかける人はプレッシャーに弱く、責任を取りたくないと考えていることがあります。

自分一人で行動するのは不安なので、「皆のため」と言うことで自分の願望を果たそうとする人です。

全員でやれば誰かのせいにして責任転嫁したり連帯責任にできるなど、責任逃れすることを考えています。

同調圧力が生まれる原因

バンドワゴン効果

同調圧力はバンドワゴン効果の影響を受けています。

バンドワゴン効果とは、あるものを多数が選択していることで、それが正しいもの、良いものと思う人が増える現象です。

バンドワゴン効果の分かりやすい例としては流行です。最初は興味がないものでも、人気になっていると興味を持ち、それが良いものであるように思い込む心理です。

同調圧力も影響力のある人の意見が正しいと思い込むなど、バンドワゴン効果が関係していることがあります。

多数派同調バイアス

多数派同調バイアスとは、どう判断すれば良いか分からないとき、多数に従っていれば安全と考える心理です。

多数派同調バイアスのデメリットは、物事が悪い方に向かっていても、周りが危機感を抱かなければ大丈夫だろうと思い込んでしまうことです。

同調圧力をかける人に従う人数が多いほど、同調圧力の影響力は増します。

正当化(認知的不協和)

同調圧力には、自分の行動を正当化しようとする心理がはたらいています。

同調圧力をかける側は、自分の考えが全ての人に当てはまる訳ではないことを分かっていても、「こうした方が皆のためである」のような大儀や正義を振りかざすことで自分の意見を貫こうとします。

従う側も本当は自分の意見があっても、同調圧力に従うことで「従う方が皆のためになる」「波風を立てない方が良い」などの理由を考え、従うことが正しいと考えます。

同調圧力を生み出す人と従う人が、自分の気持ちと現実が矛盾していることを正当化しようとする気持ちが同調圧力を生み出します。

SNS

SNSの普及が同調圧力を強めた一因とも考えられます。

SNSは多様性を知ることができるツールでもありますが、使い方によっては同調圧力を生み出すものともなります。

SNSには無数のコメントが溢れていますが、ある意見を大多数が正しいと思うと、それ以外の考えを批判して排除しようとするなどの同調圧力が起こることがあります。

またSNSの有名人に影響を受け、彼らの考えや生活習慣などが正しいものだと思う人が増えると、同調圧力を生み出すことがあります。

日本の同調圧力が生まれた原因

村社会

日本の同調圧力は、「皆同じであることが良い」のような独特のものですが、それは日本の村社会が一因と考えられます。

かつて村社会だった日本は今より閉鎖的で、集団意識が強い環境で暮らしていました。

また日本は狩猟民族でなく農耕民族であったため、同じ時期に協力しなければ食糧を得ることができませんでした。

互いに協力しなければ生きられなかったこと、多数決に従わなければ村八分にされること、そうした背景が日本の同調圧力を生み出していると考えられます。

戦後の労働環境

戦後の経済成長は、同調圧力によってもたらされたともいえます。

効率性や生産性を重視する働き方により日本は成長しましたが、引き換えに個性や創造性などは重視されてきませんでした。

そうした慣習が今も残る企業では、個性的、優秀な人など目立つ存在は協調性を乱すと見なされ、批判されたり排除されることがあります。




同調圧力のメリット

団結力が生まれる

同調圧力のメリットは、団結力が生まれることです。

皆が同じ目的に向かって協力することでモチベーションを保ちやすくなる、高い成果を出せるなどのメリットがあります。

統率力のある人物が集団を率いることで、より団結力の強さを発揮できます。

トラブルが起こりにくい

同調圧力のメリットは、トラブルが減ることです。

皆が同じ目標に向かっている間は、意見の対立や食い違いが起こりにくくなります。

また団体行動を意識することが相互監視となり、事故や不正の抑制につながります。

相互配慮

同調圧力のメリットは、お互いを気遣うようになることです。

団結力を保つには人間関係のトラブルを避けようとするため、普段の会話や態度に相手を思いやる意識が生まれます。

同調圧力が良い意味で生まれていると、パワハラやセクハラが起こりにくい環境にもなります。

同調圧力のデメリット

変化の機会を失う

同調圧力をかけることが、新たな変化の機会を失うことがあります。

古い慣習に捉われ過ぎていると、アイデアが生まれる機会を潰す、有能な人材の可能性を潰すなど、チャンスを失う原因になることがあります

自分の意見を持たなくなる

同調圧力が強いと、自分の意見を持たない人が現れます。

自分の考えを持っても同調圧力があるので無意味だと思うようになり、言われたことに従うだけになります。

自分の意思でなくやらされている感覚があると、責任感やモチベーションを保ちにくくなります。

対立が生まれる

同調圧力をかけることで対立が生まれることがあります。

同調圧力がストレスを生み、従うものと反発する側に分かれることがあるからです。

皆が協力するどころか、意見が分裂してしまう危険性を持っています。

無駄な時間を生む

同調圧力が悪い意味ではたらくと、無駄な行動や時間を生み出すことがあります。

例えば職場では「上司が残業しているので帰りづらい」のような、上下関係から生まれる圧力が無駄な時間を生むことがあります。




同調圧力があるときの対処法

自分の意見を持つ

同調圧力を感じるときは、まず自分の意見を持つことが大切です。

同調圧力をかけられるからこそ、自分の本心が分かるときもあります。

周りに流されていると感じたときは、自分はどう思っているのかを考えてみましょう。

皆が安全だと言っていても自分が不安や危険を感じたら、その集団から離れる勇気を持つことも大切です。

譲れないものを持つ

同調圧力に流されたくないときは、自分の譲れないものが何なのかを考えてみましょう。

「ここまでは譲歩できても、これだけは絶対に譲れない」という許容範囲を考えてみてください。

どうしても譲れないものについては意見を主張したり、転職など自分の生活環境を変えることも検討してみましょう。

自分にできることをやる

同調圧力が生まれている場でも、自分にはコントロールできる面とできない面があります。

いつも同調圧力に流されるのでなく、自分のやることと他人に任せることを区別して、必要以上に背負い込まない意識も大切です。

自由にできる範囲では、自分なりのやり方で行動するなど、同調圧力のストレスを受けないよう自分でバランスを取ってみましょう。

距離を置く

同調圧力をかける人にストレスを感じるときは、なるべく距離を置きましょう。

特に独創性のある芸術家気質の人やアイデアマンにとって、同調圧力をかける人は苦手な存在であると思います。

同調圧力をかける人の側にいると発想の邪魔をされることがあるため、なるべく距離を置いて活動するなど身を守りましょう。

第三者の意見を聞く

ある集団では正しいと思われていることでも、第三者から見ればおかしいと感じることもあります。

例えば職場の規則や人間関係に違和感を感じたときは、家族や友人など第三者に状況を説明し、意見を聞いてみましょう。

第三者の意見を聞くと客観的に判断しやすくなります。

得意分野を持つ

同調圧力に対抗する方法は、専門知識や技術を持つことです。

大勢の素人が正しいと思うことでも、その道のプロがそれは間違いだと言えば、大衆の考えは大きく変わります。

また得意分野があると自分の意見の信頼性が増し、団結力を高める場合にも活かせるでしょう。

周囲を味方につける

同調圧力に流されたくないときは、自分の味方を持つことが大切です。

味方を持つには日頃の物事に対する取り組み方、他人への接し方など、自分の人間力が関係してきます。

味方が多いほど同調圧力を生み出す側にも、反対する側になることもできます。

高い成果を出す

同調圧力をかける人には、自分が成果を出すことで全体の意識を変える方法があります。

マニュアル通りにやらなくても成果を出せると示せば、同調圧力をかける側にも、自分たちが正しいと思っていることに疑問を持つ人が現れます。

成功した事実があれば自分の考えに賛同してくれる人も現れ、同調圧力の力関係も変わってくるでしょう。