自虐とは、自分で自分をいじめて苦しめることです。
自虐をしない人からすると、なぜ自分の価値を下げるようなことをわざわざするのか、疑問に感じたことがあるのではないでしょうか。
自虐的な人の特徴や心理について解説します。
自虐的な人の特徴
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は自虐的になることがあります。
自分を認められていないので「自分はあれも、これもできない」と欠点ばかり目に付くためです。
自分を無能だと思い込んでいるので、自虐的なことを言ってしまいます。
嫌なことを引きずる
自虐的な人は、過去の嫌な出来事を引きずる傾向があります。
そして「前に失敗したから、今度も上手くいかない」というような思い込みを持つことがあります。
過去の出来事から、自分に悪いイメージを持っているため自虐的になります。
ポジティブ思考を嫌う・ひねくれている
自虐的な人はポジティブ思考の人や、純粋な人が苦手です。
ポジティブなことを言う人がいれば、「よくそういうことが言える」というように斜に構えています。
また「自虐的である方がニヒルでかっこいい」というようなイメージがあると、わざと自虐的な態度を取ったり、ひねくれた考えを持つようになる場合があります。
無気力・ネガティブな話が多い
自虐的な人は、普段から自分や他人の悪い面ばかり見ている傾向があります。
「どうせ私は~だからできない」のように自分に対して諦めた気持ちがあり、挑戦心がありません。
自虐だけではなく、他人の悪口や世間の愚痴話など、ネガティブな話が多いです。
言い訳が多い
自虐的な人は、他人の意見を聞き入れず言い訳が多いです。
何かアドバイスされても「でも私は才能がないから~」のように、自虐を言うのみで現状に甘んじています。
自分に対する悪いイメージが強いか、本気で変わろうとする気がない人のため、何を言われても自虐的な態度を取り続けます。
自分に厳しい
完璧主義やストイックな性格など、自分に厳しい人の言葉は自虐的に聞こえることがあります。
他人から見れば十分できていることでも、自分に厳しい人の場合は「これでは駄目だ」と納得せず、自分はまだまだ未熟だと考えます。
理想が高く人並みでは満足しないので、発言が自虐的に聞こえてしまいます。
自虐的な人の心理
自己防衛
自虐を言うのは、自己防衛のためです。
例えば「私は馬鹿だから~」と話の前置きに言うことで、相手から馬鹿にされるようなことを言われないようにしています。
また何かを失敗したとしても「そもそも私は才能がないから~」のように自分に言い聞かせることで精神的なショックを減らそうとするなど、自分を守るために自虐的な思考をする人もいます。
自信がない・楽をしたい
自虐を話す人は、自分を無能に見せようとしている可能性があります。
わざと自分を落として無能に見せることで、重要な仕事・役目などを任されないようにしています。
普段から自虐を話していると周りからも期待されなくなるので、ミスしても大きく評価を下げられないなど、精神的負担を減らそうともしていると考えられます。
自分に価値がないと思い込んでいる
自虐的な人は、自分に価値がないと感じるようなトラウマを持っていることがあります。
例えば親から「お前は頭が悪いから~」のようなことを言われてきた場合、大人になってもそれを本気で信じていることがあります。
人から言われた悪口を鵜呑みにしたり、馬鹿にされた、笑われたなど嫌な出来事を引きずる人は、自虐的になりやすいです。
同情・否定してもらいたい
自虐を言う人は、周囲の同情を集めようとしていることがあります。
自分を悪く言うことで、「そんなことないよ」と同情や否定してもらいたいので自虐を話します。
正常なコミュニケーションの取り方が分からない人、寂しがり屋な人は自分を傷つけて人の気を引こうとすることがあります。
依存したい
自虐的な人は、誰かに依存したい気持ちを持っていることがあります。
自分は何もできないと思っているので、誰かに助けてもらいたい、幸せにしてもらいたい気持ちがあるため自分を惨めに見せようとします。
自分で自分の人生を変えようとする気がないので、「自分は運がない」「人生は退屈でつまらない」のように不平不満が多いです。
笑いを取りたい・励ましたい
自虐を話す人は、自虐ネタとして話していることがあります。
自分のコンプレックスを笑いに変えられるため、自虐的といってもポジティブ思考の人です。
または自分の失敗談を話すことで、同じ失敗をしないで欲しい、相手を応援したいという気持ちがあり自虐として話す人もいます。
自分が好き
自虐を話す人は自分を嫌っているようなことを言う反面、改善する気はないことがあります。
そういう人は、自虐的な自分を好きである可能性が高いです。
「自分は面倒くさがりやでマイペースだけど、人に合わせる気はないし、それなら今のままで良い」のように、最終的には自虐的であることを受け入れています。
あるいは自虐的なキャラを演じることで、自虐を自分の個性として主張しようとしているとも考えられます。
自信がある
自虐を話す人は、実は自信を持っている場合もあります。
「私は仕事ができません」と口では言っても、実際には仕事ができる人の場合は謙遜しているだけで「私はこの職場では一番仕事ができる」と内心自信を持っている場合もあります。
謙遜し過ぎている
行き過ぎた謙遜は自虐に見えてしまうことがあります。
謙遜とは控え目な態度やへりくだる態度のことですが、自分を卑しめる訳ではありません。
しかし遠慮し過ぎたり、自分を過小評価していると、それが自虐に見えてしまうことがあります。
素直なだけ
ただ素直な性格なだけで、自虐を話しているつもりはない人もいます。
例えば自分のことを本当に頭が悪いと思っているので「自分は馬鹿だから~」と正直に言っているだけの場合もあります。
普段から思ったことを率直に話し、卑屈さや裏表がないタイプの人はその可能性が高いでしょう。
自虐をやめたいときの直し方
マイナス言葉を使うのをやめる
自虐的な人は自分の可能性を捨てるような、決めつけるような口癖が多いです。
- どうせ自分は~
- ~だからできない
- 分からない
- 絶対無理
- つまらない
- 運が悪い・ついていない
自分が普段使う言葉が、自分の思考や行動に影響を与えます。
「~だからできない」→「やり方を変えればできるかも?」というように、自分で自分の思い込みに疑問を持つ、可能性を広げるような思考を意識してみましょう。
見方を変える
自虐的な人は、自分の悪い点にばかり注目していることがあります。
しかし自分が短所だと思っていることは、見方を変えれば長所になることもあります。
自虐も悪いように捉えれば卑屈、挑戦心がないというように見えますが、見方を変えれば自信過剰にならない、用心深いというように見ることもできます。
良い悪いというように考えるよりも、自分の特性として活かすことを考えてみましょう。
自分語りをやめる
普段から自分の話ばかりする人や、何でも自分と関連付けて話す人は、ナルシストの傾向があります。
自分で自分のことを嫌いと思っていても、自分のことばかり考えているなら、自分への執着が良くも悪くも強いということです。
その場合は自分語りをやめれば自虐も減ると思うので、自分以外の物事に関心を向けてみましょう。
思い込みに疑問を持つ
「自分は馬鹿だから」「美人ではないから」のような自分に対する固定観念が、誰かから言われたことの刷り込みではないか思い返してみましょう。
特に親兄弟など身近な人に悪口を言われ続けた人は、自己肯定感が低く自虐的になりやすいです。
そのため自分にネガティブな固定観念があるときは、「本当にそうだろうか?」と疑問を持つことが大切です。
自分の固定観念に疑問を持つと、自分の長所に気付いたり、人から褒められたことを思い出すなど、今まで見ようとしていなかった自分に気付くきっかけになるでしょう。
謙遜し過ぎるのをやめる
謙遜する態度は、やり過ぎると卑屈に見えてしまうことがあります。
謙遜する人は他人から評価されたときに「いいえ、私なんて…」のように言うことがありますが、これは相手の言葉を否定することにもなります。
謙遜も過ぎれば相手の気分を害することになるため、人から褒められたときは素直にその気持ちを受け取ることも大切です。
自分を追い込む原因を考える
自虐的になるほど自分を追い込む人の注意点は、他人から「お前は馬鹿だから成功しない」「怠け者で努力が足りない」のように言われたことがないかということです。
こうした言葉がトラウマになっている人は、病的に自分を追い込むことがあります。
それは過去に言われた言葉を鵜呑みにして「自分は無能なんだ」と思い込み、「無能だから誰より努力しなければならない」のように考えて無理をするためです。
自分を追い込む気持ちがポジティブなものではなく、不安や恐怖から生まれるものであるなら、過去の思い込みに捉われている可能性があります。
行き詰まりを感じたときは、誰かに言われたことに反発しようとしているだけではないのか、本当の自分の幸せ、楽しいと感じることは何なのか、自分の心を見つめ直す時間を持ってみましょう。
自虐的な人への対処法
共感しつつ距離を置く
自虐を話す人に何かアドバイスしても言い訳したり、変わる気がなさそうであれば、ただ同情してもらいたいだけの可能性があります。
あるいは本当は自虐的な自分が好きだったり、自虐的でいる方が楽だと思っている人です。
そういう人は何を指摘しても変わる気がなく、否定されたと思って「私のことを何も分かってくれない」と不機嫌になったりします。
面倒くさいと感じるのであれば、「そんなことはないよ」「あなたならできるよ」のように共感する言葉をかけて、深く関わらないようにする方が良いでしょう。
謝る
自虐を話されても、それは本人が解決する問題であり、こちらにはどうにもできないこともあります。
返答に困ったときや付き合い切れないときは、「悪いけど、そういうことについてはよく分からない」「助けになれなくてごめん」のように、協力できないことを遠回しに伝えるのも対処法です。
本気で相手の助けになりたいときは詳しい事情を聞くこともできますが、依存される可能性があるため注意が必要です。
相手の自虐を肯定する
自虐的な人と関わりたくないのであれば、相手の発言を認めてしまうのも対処法です。
例えば「私は○○だから~できない」のような発言が多い人には、「そうだね、最初から言い訳する人には無理だと思うよ」のように発言を肯定してしまいます。
自虐的な自分が好きなタイプは、本当は否定してもらいたい気持ちがあるため、肯定されると不機嫌になったり、突き放されたように感じます。
自虐的な人が言われたくないことをわざと言うことで、相手の方から離れてくれたり、自虐を言わないように気を付けてくれる可能性があります。
相手の気持ちに寄り添う
自虐を言う人は否定してもらいたい、不安を理解してもらいたいという気持ちを持っていることが多いです。
そのため自虐を言う人に信頼されたい場合は、その気持ちを受け止めるような言葉を返してみましょう。
はっきり「そんなことはない」と否定できないときは、「誰でも気になることはあるよ」のように、自分だけの悩みではない、そういうことを考える人はたくさんいるというように、共感を示す言葉をかけます。
相手の気持ちに寄り添うことで、自虐を話す人も徐々に心を開いてくれたり、コンプレックスやトラウマ、病気など、根本的な悩みを打ち明けてくれることがあります。
見方を変える
自虐的な人は自分の悪い面ばかり見ていることがあります。
そういう人には、相手の気付いていない良いところを見つけて伝えてみましょう。
また本人が悪いと思っていることも、見方を変えれば長所になることがあります。
自虐的な自分を変えたいと思っている人なら、ポジティブに解釈して伝えることで、自分の見方を変えるきっかけになる可能性があります。
休んでもらう
努力家で向上心の強い人は、自分を追い込み過ぎていることがあります。
自分に厳しい人がスランプに陥ったり苦しんでいるときは、相手の努力を認めた上で休むことを勧めたり、別のやり方を提案してみましょう。
努力家な人には頑張り過ぎ、やめた方が良いと言うよりも「体調管理も仕事の内」のように言う方が聞き入れてくれると思います。