恋人や夫婦間で、相手のことを常に把握していないと気が済まないという人がいます。
束縛するだけでなく浮気・不倫を執拗に疑う人の場合は、オセロ症候群の可能性があります。
オセロ症候群を発症しやすい人の特徴や対処法などをご紹介します。
オセロ症候群とは
オセロ症候群とは、自分の配偶者や恋人などが浮気、不倫をしているのではないかと過剰な妄想、嫉妬を抱く症候群です。
オセロ症候群と呼ばれるのは、シェークスピアの戯曲『オセロ』が由来です。
軍人オセロが貞淑な妻・デズデモーナが不倫をしているのではないかと疑ったために起こる悲劇のストーリーを元に、オセロ症候群と呼ばれています。
オセロ症候群になりやすい人の特徴
疑い深い
オセロ症候群の症例から分かるように、オセロ症候群になりやすい人は疑い深い性格です。
普段から他人を簡単に信用しない慎重派で、相手の言うことを鵜呑みにしません。何か裏があるのではないか、嘘を吐いているのではないかと相手のことを疑っています。
また、オセロ症候群の人は自分のことが好きか、大切に思っているかなど、パートナーが自分をどう思っているのか過剰に疑うところがあります。
他人の私物をチェックする
オセロ症候群になりやすい人は、他人の私物をチェックする傾向があります。
例えばパートナーの携帯を勝手に盗み見るなど、相手の私物をチェックすることが止められない人です。
パートナーの私物をチェックするのは、異性に関係するものがないか調べないと気が済まないからです。
オセロ症候群の人は、携帯のリスト、名刺入れなどに異性の名前が入っているだけでも浮気や不倫を疑います。
相手のことを信じたいという気持ちと、自分の中にある不安や疑念を解消するためにパートナーの私物をチェックすることが止められず、後悔しながらも繰り返してしまいます。異性と関わらせない
パートナーが異性と話す、メールのやり取りをするなど、自分以外の異性と関わるだけで過剰に嫉妬するのは、オセロ症候群に当てはまる症状の1つです。
休日も必ず自分と一緒に過ごさせるなど、パートナーが異性と関わる機会をなるべく作らないようにします。
また、異性アイドルのファンにもなってほしくない、自分以外の異性を褒めてほしくないというように、自分だけを見ていてほしいという気持ちを強く持っています。
連絡を強要する
1時間ごとに連絡を強要するなど、相手の時間を束縛するような行動は、オセロ症候群に見られる症状の1つです。
相手がいつどこで何をしているのかを把握していないと、自分が安心できないために、パートナーへ連絡を強要します。
また、パートナーが連絡や返信をすぐに返してくれないと、浮気や不倫をしていたのではと疑い始めるのもオセロ症候群の特徴です。
オセロ症候群の心理
不安感がある
オセロ症候群の人は、パートナーが自分から離れて行ってしまうのではないかという不安感を常に持っています。
相手がどんなに誠実な人であっても、その気持ちは変わりません。オセロ症候群の原因は、本人の考え方にあるからです。
疑い深くなる原因には他人に裏切られたことがある、両親が不仲だったなど、人によってさまざまな原因があります。
その原因から起こった不安(トラウマ)が解消されないままだと、不安感から相手を過剰に束縛してしまいます。
幼少期の影響、精神病・依存症
両親が不仲で愛情のない家庭で育ったなど、何らかの影響で子供の頃から他人を信用できないまま成長すると、大人になっても人を信用できず、オセロ症候群になる場合があります。
オセロ症候群の人は自己肯定感や自尊心が低く、その自信のなさから相手を束縛してしまうケースが多いのが特徴です。
また、うつ病などの精神病やアルコール依存症など、精神病や依存症が原因で理性が働かなくなり、オセロ症候群を引き起こす場合があります。
オセロ症候群の対処法
自己中心的であると自覚する
相手の携帯を勝手にチェックするなど、オセロ症候群に当てはまる行動が自分にあるときは、それを自分がされたらどう思うか考えてみてください。
自分が浮気や不倫をしていないのに勝手に私物をチェックされたら、嫌な気持ちになるのではないでしょうか。
そして「自分を信じてくれていなかったんだ」と、相手に対して失望する気持ちも起こると思います。
また、いくらパートナーといっても人のものを勝手に触るのは失礼でもあります。パートナーからすれば「この人は他人の物でも、自分の物のように勝手に触るんだ」という自分勝手な印象を持ちます。
オセロ症候群の人がパートナーに対してすることは、相手の気持ちを全く考えていない行動です。
オセロ症候群の人が相手の視点で物事を考えるには、日頃から練習が必要です。
人と会話したりメールするときには、自分の気持ちだけでなく、相手の気持ちを考えて発言、行動するクセをつけてみてください。パートナーを疑う原因を見つける
オセロ症候群の人が抱える「パートナーが離れて行ってしまうような不安感」は、何が原因で生まれるのかを振り返ることが大切です。
例えば過去に誰かに裏切られたことがある人は、そのときにどう思ったのか(悲しかった、腹が立った)など、その気持ちを紙に書き出してみましょう。
そして、それから自分は人とどのように接するようになったのか思い返してみてください。
オセロ症候群の人の場合、相手を疑うことが多い、束縛する、何かを強要するなどの行動が目立ちます。
それを紙に書いて見ることで、自分が今までどんな考え方を持ち、人に対してどういう接し方をしてきたのか、心の流れを客観的に見ることができます。
それらを踏まえて、今度は自分に束縛された相手の気持ちについて考えてみるなど、相手の視点にも立ってみましょう。
自分の心の整理と、他人の心について考える時間を持つことが大切です。それが、今後のパートナーとの接し方について考えていくことでもあります。カウンセリングを受ける
オセロ症候群の発症には、うつ病などの精神病が原因の場合もあります。
自分だけでの解決が難しいと感じた場合は、カウンセリングなどの治療も検討してみましょう。
自分ではなくパートナーがオセロ症候群の場合、一緒に精神科・心療内科でカウンセリングを受けて話し合い、治療する方法もあります。
カウンセラーという第三者の専門家を挟むことでパートナーとの関係性を見直すきっかけになり、話し合いながら症状を改善させる治療が行われます。
オセロ症候群の人との付き合い方
否定しない
オセロ症候群のパートナーに疑いを掛けられると、イライラしたり付き合っていられないと思う気持ちが出てくると思います。
しかし「もう無理」「勝手すればいい」など突き放すような態度を取ると、オセロ症候群の人が怒ったり、余計に執着される可能性があります。
オセロ症候群の人に疑いの言葉を掛けられたときは、その言葉の本当の意味を解釈することが大切です。言葉の意味を解釈する
オセロ症候群の人から疑いの言葉を掛けられたときは、その言葉の裏にある本音を考えてみましょう。
例えば自分が異性と話しただけで「私じゃなくて、あの人が好きなんでしょう」のようなことを言われたとします。
その言葉の本音は「他の人を好きにならないで。自分だけ見ていてほしい」というものです。
オセロ症候群の人は、自信がなく不安を抱えている人です。疑いの言葉の裏には「自分を見捨てないで欲しい」という本音が表れています。
言葉の裏を知ることで、疑いを掛けられたとしても腹が立つ気持ちも起こりにくくなると思います。
距離を置く
オセロ症候群の相手に付き合い切れないときは、お互いの距離を置くことも検討してみましょう。
オセロ症候群の相手に献身的に付き合って共倒れしてしまっては、更に関係の修復は難しくなります。
オセロ症候群の人は束縛が強いため、パートナーが離れようとすると癇癪を起こすかもしれません。
そのため、オセロ症候群の相手と距離を置くときは前向きな言葉で説得しましょう。
「一度離れて、お互いに自分のこと、相手のこと、今後のことを考える時間を作ろう」など、完全に別れる訳ではないことを説明すれば、オセロ症候群の人でも納得してくれる可能性があります。