いつも否定的なことばかり言ってくる人、話を聞いていると不安になってくるような人がいないでしょうか。

その人はガスライティングという心理操作を使っている可能性があります。

なぜガスライティングをするのか、心理や対処法について解説します。

ガスライティングとは

ガスライティングとは、相手の言動を否定して責めたり、嘘の情報を与えて混乱させる心理操作、嫌がらせ、精神的虐待のことです。

ガスライティングされている人は正常な思考や判断ができない状態になるため、自分が被害に遭っている自覚がないことがあります。

ガスライティングと呼ばれるのは『ガス燈』という演劇・映画作品で、精神的DVをする男性とそれに翻弄される女性を描いたことが由来となっています。

ガスライティングする人の特徴

相手が悪者であるようにする

ガスライティングする人は自分に悪いところがあっても、全て相手が悪いような言い方をします。

そのため「お前が間違っている」「何で~なの?」のような、相手を責めたり、否定する言葉が多いのが特徴です。

「あなたのために言っている」と心配していると見せかけて、結局は相手が悪いという流れにしようとする人もいます。

絶対に謝らない

ガスライティングする人は、自分はいつでも正しいような態度を取ります。

たとえ自分に悪いところがあっても言い訳をしたり、感情的になって無理矢理解決しようとします。

「それくらいで怒るなんて気にし過ぎだよ」「そんな風に考える方がおかしい」というように、徹底的に相手が悪いように思い込ませようとするのが特徴です。

口が上手い

ガスライティングする人は嘘の情報を流すことがあります。

嘘を真実と思い込ませたり、真実と嘘の情報を巧妙に混ぜて相手に信じ込ませる話術を持っています。

ガスライティングする人の口車に乗せられると、不満があったとしても「やっぱり自分が悪いのではないか」というように罪悪感に駆られてしまう人もいます。

邪魔をする

ガスライティングする人は、他人の邪魔をすることがあります。

他人がやろうとしていることの邪魔をしたり、わざと失敗するように嘘を教えるなど妨害してくるのが特徴です。

そうして相手が失敗すると相手の人格や能力を否定して、自分が優位に立とうとします。

罪を着せようとする

ガスライティングする人は嘘をついて、他人に罪を着せようとすることがあります。

例えば自分の私物をわざと隠しておき、「○○に盗まれた」と騒いだり言い触らすなど、誰かを悪者にしようとします。

自分を被害者に見せかけて周囲の同情を買い、相手を不利な状況に追い込もうとします。

相手の存在・好きなものを否定する

ガスライティングする人は、相手の人格や存在を否定するような発言が多いです。

また相手の好きなものや趣味を否定することで無駄なこと、価値がないもののように思い込ませようとします。

相手の存在や好きなものを否定することで、徐々に自己肯定感を下げようとします。

価値観を押し付けてくる

ガスライティングする人は何かにつけて、自分の価値観を押し付けてきます。

「自分はいつもこうやっているから、お前も同じようにやれ」というように、他人のやり方を否定するのが特徴です。

他人の意思や自由を尊重せず、自分と同じであるように命令してきます。

孤立させようとする

ガスライティングする人は、相手の家族や友人などを否定して付き合いをやめるよう孤立させようとすることがあります。

相手を孤立させることで相談できないようにさせ、正常な判断ができないようにするためです。

また相手の時間や行動を制限するなど、束縛が強いことがあります。

トラブルメーカー

ガスライティングする人は、自分が優位になるために他人の悪い噂を流すことがあります。

あえて混乱や対立を生み出して周囲の人を不安にさせたり、人間関係のトラブルを起こさせて、自分だけが得するように立ち回ります。

そのためガスライティングする人がいる場所はトラブルが絶えなかったり、居心地の悪い環境になることがあります。

ガスライティングする人の心理

優位に立ちたい・自己肯定感が低い

ガスライティングする人は、相手の行動を否定することで自分の優位性を示そうとします。

それは誰かを自分の下に置かなければ、自己肯定感を保てないためです。

いつも自分が偉い、正しいかのような態度を取りますが、それは自己肯定感の低さ、防衛本能の表れでもあります。

支配欲・コントロールしたい

ガスライティングする人は相手を支配し、思ったようにコントロールしたい欲求があります。

そのために嘘を教えるなどで相手を混乱させ、自分に依存させるように仕向ける行動を取ります。

そして自分の言っていることが全て正しいので、それに従うべきというように自分の価値観を押し付けます。

ナルシスト

ガスライティングする人は、ナルシストの傾向があります。

「他人に命令できる、強い力を持った自分」のような自分の理想像に酔っており、それを実現させることで自信を得ようとしていることがあります。

しかし、それは人を利用しなければ自分を保つことができない弱さであり、根底には自信のなさ、自己肯定感の低さがあると言えるでしょう。




ガスライティングのターゲットになりやすい人の特徴

責任感が強い人

ガスライティングのターゲットになりやすいのは、真面目で責任感が強い人です。

例えばガスライティングする人に何か否定されると「自分の能力が低いから…」と全て自責思考になってしまいがちです。

ガスライティングする人は他人の努力を評価しないので、認めてもらいたい気持ちでどれだけ頑張っても否定されたり、成功しないようにわざと邪魔されるだけです。

ガスライティングする人と付き合い続けると責任感の強さを利用されてしまい、徐々に自己肯定感が下がっていきます。

自己肯定感が低い人

ガスライティングする人は自己肯定感が低いですが、同じように自己肯定感が低い人は共依存に陥ることがあります。

ガスライティングする人は相手を否定して自己肯定感を保とうとしますが、される側も自己肯定感が低いと、ガスライティングを愛情表現だと思い込んでしまうことがあります。

どんなに自分を否定されても「こんな私のことを心配してくれている」と思い込むように洗脳されてしまうと、容易に共依存から抜け出せません。

自分の意見がない、自信がない人

人に意見を押し付けられたり、自分の考えを否定されると相手に従ってしまう人は、ガスライティングのターゲットになりやすいです。

ガスライティングする人は自分に依存させたい気持ちがあるので、簡単に言うことに従ってくれる人は扱いやすいからです。

ガスライティングされた人は命令、否定発言をされることでますます自分の発言に自信がなくなり、相手の機嫌を損ねればすぐに謝るというように、他人の顔色をうかがう性格になっていきます。

ガスライティングへの対処法

記録を付ける

相手にも非があるはずなのに、自分だけが悪いように言われたときは、本当にそうなのか状況を整理してみましょう。

相手がしたことと自分がしたことを分けてメモに箇条書きし、どこかで責任転嫁されていないか見直すことが大切です。

また相手に言われた悪口やおかしいと感じたことをメモしておくのも良いでしょう。

それはパワハラやモラハラとして相談するときの資料となったり、自分が相手と距離を置くかどうか考えるときの参考になります。

話を簡単に信用しない

ガスライティングする人は話の中に嘘を混ぜてくることがあるので、たとえ真実味があるように聞こえてもすぐに信用しない方が良いでしょう。

重要な話をするときは録音しておくなど、証拠を残しておくことが大切です。

真に受けない

ガスライティングする人は人格を否定するような発言をすることがありますが、それは相手の自己肯定感を下げることが目的なので、真に受けないようにしましょう。

またガスライティングする人の悪口は、自己肯定感の低さの表れでもあります。

他人を下げないと自分を保てない人なので、自己防衛のために言っているのだと知ることが大切です。

聞き流す

ガスライティングする人の言葉にはなるべく反応せず、関わる時間を減らすことが大切です。

何か悪口や嫌味を言われても「あ、そう」のように淡々とした返事をするだけで強く反応しないことを意識してみてください。

ガスライティングする人は自分に依存させたい気持ちがあるので、反応してくれない相手とのコミュニケーションには困惑したり、退屈に感じます。

挑発や悪口に感情的になってこちらが反論してしまうと、ガスライティングする人は相手を思い通りに動かせたと思い、ますます執着してきます。

更には感情エネルギーまで奪い取っていくので、ガスライティングする人にとって面白くない反応を意識してみてください。

自分の意見を言う

ガスライティングする人は口が上手いことがありますが、それに流されないことが大切です。

意見が合わないときは「あなたの言うことも分かりますが、私はこう思います」のように、自分の意見を言って自分を守りましょう。

ガスライティングする人はこちらの意見は全て否定してくるでしょうが、それよりも相手に苦手意識を持たせることが大切です。

ガスライティングする人にとって、いちいち言い返してきたり、自分の考えをしっかり持っている人は苦手なタイプです。

簡単に支配できない相手だと思わせればターゲットから外れやすくなります。

何を考えているか分からないと思わせる

ガスライティングする人には、何を考えているかよく分からない人と思わせることも対処法です。

例えばガスライティングする人に何か質問や命令されても素直に答えるのではなく「うーん」「よく分からない」のように曖昧な答えにしておきます。

また自分のことについて色々話すと、その情報を元に支配しようとしてくることがあるので、自分についての話も避けた方が良いでしょう。

弱点がよく分からない人には付け入る隙がないので、ターゲットから外れやすくなります。

精神的、経済的に自立する

ガスライティングする人は自分に依存させたい気持ちがあるので、自立している人はターゲットにされにくいです。

自立心の強い人は自分の意見や価値観をしっかり持っており、簡単に他人の助けを求めないので支配しにくいからです。

自立していることを態度や行動で示すことは、ガスライティングなどハラスメント行為をしてくる人を遠ざける効果があります。

第三者に相談する

ガスライティングする人について相談するなら、その人が所属する場所とは関係ない人に相談しましょう。

例えば職場にガスライティングしてくる人がいるなら、自分の家族や友人などに相談します。

なぜならガスライティングする人が支配している、あるいはそういう人がいることが許されている環境にいる人に相談しても、他の人達も既に洗脳されている可能性が高いからです。

職場では当たり前と思われていることでも、第三者からすれば明らかにおかしいということもあるので、相談するときには関係者以外の人に話してみましょう。