人間関係が上手くいかない人は、他人への不信感が原因になっていることがあります。
人を信じられないと警戒心を抱きやすく、自ら心を開くのが難しくなるからです。
なぜ人間不信になるのか、心理や克服方法について解説します。
人間不信とは
人間不信とは、文字通り人を信じられない状態のことです。
誰でも信用できる・できない人はいるでしょうが、人間不信になると、全般的に人を信用できなくなります。
そのためすぐ人を疑ってしまう、人の言葉を素直に受け取れないなど、コミュニケーションを取るのが難しくなります。
人間不信な人の特徴
猜疑心が強い
人間不信な人は家族・友人など親しい相手の言葉でも、内心は疑っています。
たとえ誰かから褒められても「何か裏があるのだろう」と素直に受け取ることができません。
自分以外の存在に対して警戒心が強いです。
自分のことを話さない
人間不信な人は、自分のことをあまり話しません。
他人を信じられないので、自分の話をすることに抵抗感があります。
自分のことを聞かれても話をそらしたり、本当のことは言わないなど、心を閉ざします。
単独行動が多い
人間不信な人は単独行動が多く、自分から人を避ける傾向があります。
他人に自分のことを知られたくない、関わって傷つきたくないなど、ネガティブな気持ちが強いためです。
誰かといるよりも、一人で過ごす方が安心します。
感情表現が少ない
感情表現が少ない人は、他人を信用していない可能性があります。
自分の感情を見せると、弱点を知られると警戒しているからです。
無口、無表情の方が自分のことを知られないため、感情を表さないようにしている場合があります。
人に頼らない
人間不信な人は、誰にも頼らず一人で行動します。
人に期待していないため、誰かが失敗しても怒ったり悲しんだりせず、自分で解決しようとします。
一人で頑張りますが、困っても助けを求められず心を病むことがあります。
人を試す
人間不信な人は、裏切られたくない気持ちから人を試すことがあります。
わざと冷たくしたり、困らせることをして、相手がどういう反応をするかを見ます。
試す行動を取るのは、自分のことをどれほど大切に思ってくれているかを確かめるためです。
繊細・神経質
繊細・神経質な人は、過敏さゆえに人間不信になることがあります。
繊細な性格だと人の嫌な面がよく見えてしまい、簡単に信用できないと思うからです。
また神経質な人は、少しでも他人に許せないことがあるとイライラしたり、嫌がらせされたなど被害妄想に陥ることがあります。
他人の態度が気に障ることが多いと、人を嫌って信用できなくなることがあります。
容姿端麗
美男美女は人間不信に陥ることがあります。
容姿が整っていると、何もしていないのに嫉妬されたり、見た目だけで判断して近寄ってくる人が多いためです。
警戒心を抱くので、最初から誰にでも心を開くのは難しくなります。
人以外のものを信用している
人間不信な人は、人を信用できない分、別のものを信用していることがあります。
アニメやゲームなど二次元の世界にハマる、動物好きなど、人付き合いがないものに傾倒します。
あるいは身近な人は信用できなくても、憧れている有名人のことは信用している場合があります。
明るい
人間不信でも、普通に人と接することができる人もいます。
本心では人を信じていませんが、暗い性格と思われたくないなどの理由で、明るい人を演じている場合です。
あるいは「他人が本当に何を考えているかなど分からない」「完璧に信用できる人などいない」と達観しているので、人間不信でも特に恐怖感がない人もいます。
人間不信になる心理・原因
純粋
人間不信になりやすい人は、純粋ですぐ人を信じるタイプの人です。
人に裏切られたり騙されたことが多く、「人を信じても良いことはない」と思い込むと人間不信になってしまいます。
元が純粋なため深く傷ついてしまい、長い間心を閉ざしてしまいます。
自己防衛
人間不信な人が疑い深いのは、防衛本能が過敏になっているためです。
人を信じられなくなるような経験をすれば、誰でもすぐに人を信じるのは難しくなります。
二度と辛い思いをしたくないため、必要以上に疑ってしまいます。
トラウマ
人間不信な人は、何らかのトラウマを抱えている人が多いです。
何も原因がないのに、人間不信になる人はそうはいません。
犯罪被害に遭った、大切な人に裏切られたなど深い心の傷が、人を信じられない原因になっています。
いじめ
いじめはいじめる人と、それを黙認する環境によって起こります。
それでも助けてくれる人がいれば、人間不信になるまで追い詰められる人は減るでしょう。
暴力や暴言のトラウマ、誰にも助けてもらえなかったことから、人を信じられなくなってしまいます。
家庭環境
家庭環境によって人間不信になることもあります。
親から暴力や暴言、無視など虐待を受けていた場合、それが人を信じられない原因になることがあるからです。
親は最初に人間関係を学ぶ相手のため、親を信じられないと、他人を信用するのが難しい、コミュニケーションの取り方が分からないなど、生きにくさを感じることがあります。
完璧主義
人間不信になるのは、完璧主義な性格が関係していることがあります。
完璧主義な人は二極化思考の傾向があり、人を「好き・嫌い」「敵・味方」のようなどちらかでしか判断しない傾向があります。
そのため自分と考えが合わない相手を敵だと思うなど、極端な判断をしてしまうことがあります。
少しでも性格や価値観が合わない人を嫌っていると、嫌いな人がどんどん増えてしまい、人間不信に陥ることがあります。
被害者意識が強い
人間不信な人は、被害者意識が強い傾向があります。
被害者意識が強いと、他人の何気ない仕草や言葉を嫌味と思うなど、ネガティブな解釈をしがちです。
自分に攻撃してくる人が多いと思い込むと、他人を信用できなくなっていきます。
自信がない
人間不信な人は自分を信じていないので、他人のことも信用できなくなります。
自信がない人は「自分は無価値な存在」のような潜在意識があり、自分を嫌っています。
そのため自分を認めたり、褒めてくれる人がいても「お世辞で言っているだけ」のように解釈して、自分の潜在意識を変えてくる存在を避けようとします。
自分が今まで抱えてきた潜在意識を変えることに抵抗感があるため、肯定的なコミュニケーションを取ってくれる人ほど不信感を抱きます。
人間不信を克服する方法
自分を肯定する
人間不信になる原因は人それぞれですが、どのような理由でも、まずは現状を受け入れる気持ちが大切です。
「人間不信になるのは弱いから」「人間不信なのは悪いこと」のように考えるのは、自分を否定することです。
人間不信になったのは、そうなるだけの理由があったためで、それに良い・悪いのような判断をつける必要はありません。
人間不信になるような経験をし、辛かった、苦しかった自分の気持ちに寄り添う気持ちを持ってみましょう。
自分を認める
自分を信じられない人は、「自分を信じてみよう」という意識を持ってみましょう。
いきなりそう思うのは無理でも、少しずつ意識を変えていくことが大切です。
自分を無視したり、仲良くできない人は、他人と仲良くなるのも難しくなります。
また自信のない人はできないことにばかり目を向けているなど、自分の良いところを見ようとしません。
自分に厳しくするだけでなく、自分を認める気持ちが自信につながります。
試す行動をしない
人を試すような行動は、人間関係を壊す原因になります。
相手の気持ちを確かめるために困らせるようなことをすれば、それで嫌われてしまうこともあります。
本当に相手の心が離れてしまったり、人間不信にさせてしまうことがあるので、試すような行動はやめましょう。
被害者意識を自覚する
被害者意識が強い人は、他人の態度を自分への攻撃だと思い込むことがあります。
例えば自分の方を見ている人がいれば「あの人は私を睨んでいる」のように考えます。
しかし、それは自分の近くにある別の何かを見ていたり、何も考えずぼんやりしている場合もあります。
被害者意識が強いと他人の態度を自分と関連付けてしまいがちですが、別の可能性もあることを考えてみましょう。
環境を変える
今の人間関係を信用できない場合、環境を変えるのも対処法です。
環境を変えるのは気分一新の意味もありますが、新しい縁を結ぶことでもあります。
人は影響し合う存在のため、人間関係を変えると自分の心境も大きく変わります。
今いる場所から移動できない場合は、趣味を通じて交流に参加するなど、新しい人間関係を築ける場所へ行ってみましょう。
極端な判断をしない
他人を好き嫌い、敵味方のような分け方をすると、人間関係が窮屈に感じられます。
他人からは好き嫌いが激しい、気難しい人に見えるため、敬遠される原因にもなります。
自分と考えが合わない人でも批判しない、距離を置くなど、自分の思い込みで敵を作らないことが大切です。
頼る
人間不信な人は誰にも頼らない傾向がありますが、自分だけで解決できないことは頼ってみましょう。
一人で頑張っても、遅れが出て迷惑をかけたり、自分が病んでしまうほど追い詰められることがあります。
頼ることが難しくても、小さな頼み事からお願いするなど、頼み方に慣れることが大切です。
相談する
人間不信から心身の不調が続く場合は、何らかの精神疾患を発症している可能性があります。
トラウマによる人間不信ならPTSD(心的外傷後ストレス障害)、落ち込んで誰とも関わりたくないときはうつ病などの病気が考えられます。
日常生活がままならない場合は、医療機関に相談することも検討してみましょう。