自分の親が毒親かもしれないと感じたことはないでしょうか。
また親が毒親であると思う人は、「許せない」「仕返しや復讐したい」という気持ちが生まれることがあると思います。
毒親、毒親に育てられた人の特徴や対処法について解説します。
毒親とは?
毒親とは、子供にとって毒になる親のことです。
愛情や信頼関係がある健全な親子と違い、毒親は自分の子に愛情を注ぐことができません。また親子関係が上下・主従関係で成り立っています。
しかし幼少期の子供は親に従うしかないため、歪んだ価値観を正しいと思い込んだまま成長します。
そのため自分の親が毒親であることに気付かない人も多く、社会人となって生きにくさを感じカウンセリングを受けたところ、毒親であることに気付くケースが増えています。
毒親の元で育つとなぜ生きにくさを感じるのか?
毒親育ちの人は、コミュニケーションの取り方が分からない、他人を信用できないなど人間関係の悩みを抱えることがありますが、それは親子関係が原因になっていることがあります。
親は子供が生まれて初めて接する人間です。子供は親の愛情を受けて成長し、互いに信頼関係を築きながらコミュニケーションを学んでいきます。
しかし毒親は我が子に愛情を注ぐことができません。例えば子供が自分の言うことを聞かなければ暴力を振るう、脅すなど強制的に言うことを聞かせようとします。
そのような毒親の元で育った子は愛情をもらい、信頼関係を築くというコミュニケーションの基礎を学ぶ場を与えられずに育ちます。
そのため社会に出ると、どのように人間関係を築けば良いのか分からず、他人を怖がったり、暴力を振るってしまうなど、原因が分からず苦しむようになります。
毒親の特徴
自分の親が毒親かもしれないと思った場合は、親について当てはまるものにチェックしてみましょう。以下の項目で該当するものが多いほど、毒親である可能性があります。
- 命令口調の話し方をする
- 「これくらいでは世の中を渡っていけない」、「もっと努力しろ」などプレッシャーをかける言葉を使う
- 「育てるのにいくらかかった」など子どもにお金の話をする
- 「育ててやったんだから、老後は介護しろ」など感謝や見返りを求めてくる
- 「言うことを聞かないなら、親子の縁を切る」など、脅し言葉を使う
- 勉強、習い事などで常に完璧を求めてくる
- その日の気分で子どもに対する態度が変わりやすい
- 親がヒステリック、感情の起伏が激しい面を持っている
- 子どもの目の前で夫婦喧嘩する、または互いの悪口を言う
- 「恥ずかしいから大人しくしなさい」など、世間体を気にする言葉をよく言う
- 親が家族とそうでない人への態度が違う(外面が良い)
- 冗談を言い合えないなど、家庭内の雰囲気に緊張感がある
- 子どもの意見を聞き入れない、習い事などやりたくないことを強制する
- 子どもの好きなものを認めない
- 子どもの話を聞かずに一方的に話す
- 子どもに共感しない、子どもが不安を抱えていても理解しようとしない
- 自分の言うことが正しいと信じて疑わないところがある
- 理由を言わずに突然子どもを怒鳴る、何かを禁止する
- 誕生日、クリスマスなど記念日のイベントを無視する
- 体罰、暴力で子どもを大人しくさせる
- 子どもの外見や性格の悪口を言う
- 子どもの髪型や服装について厳しく指摘する
- 子どもの間違いばかりに気付いて注意する、褒めない
- 友人、恋人関係など子どものプライベートを詮索する、口出しする
- 学校や会社のことについて色々聞いてくる
- 子どもの部屋に勝手に入る、日記や携帯を勝手に読む
- 子どもの人生を支配しようとする、親元から離そうとしない
- 子どもの成長に必要な衣食住の場を与えない
- 親族に精神疾患や依存症を抱えている人がいる
- 親の親(祖父母)が親に虐待をしていた
毒親に育てられた人の特徴
毒親に育てられた人の特徴を示すチェックリストです。以下の項目で自分に該当するものが多いほど、毒親に育てられた可能性があります。
- 気分が移り変わりやすい、喜怒哀楽が激しい
- うつ病、摂食障害、何らかの依存症を発症している
- 自傷行為をしている
- 完璧主義な面がある、常にプレッシャーを感じている
- 親、他人と接するときに不安や緊張を感じやすい
- ストレスを感じやすく、疲れやすい
- 人の目が気になる、人の目を気にしないようにすることができない
- 他人から嫌われるのが怖い、八方美人になる
- 他人に警戒心を抱く、心を開けない
- 人間関係に悩みやすい
- 人間関係が上手くいかず、転職を繰り返す
- 異性と交際することが難しいと感じる
- 自分に自信がない、他人を見ると劣等感を感じる
- 友人や恋人であっても、他人を信用できない、嫉妬深くなる
- つい人に暴力を振るう、暴言を吐くことがある
- 親といると気を遣う、「良い子」を演じる
- 親のことを考えると「良い子でいなければならない」「介護しなければならない」など、感謝ではなく義務感を感じる
- 本当は親から解放されたいと思っているが、見捨てるような罪悪感があるので離れられない
- 親に復讐したい、絶縁したいという思いがあり、恨んでいる
- 親のようにはなりたくない、容姿や性格が親に似るのは嫌だと感じる
- 子どもとどう接して良いか分からない、子どもを見ると自分の幼少期を思い出す
- 子どもを持つことに抵抗感を感じる
- 自分の育った環境は恵まれていないと感じる、そのせいで今も不幸になっていると感じる
- 友人や恋人の話に共感できない、自分は他人とは違う人間のように感じる
- 世間の常識と自分の考えに「ずれ」を感じることがよくある
- 自分のやりたいことが分からない、自分で自分の人生を決めることができない
毒親への考え方、対処法
他人の言葉に左右されない
毒親育ちの人は、人間関係に苦しみ不登校や転職を繰り返すなど、日常生活が困難になることがあります。
更に周囲の人から「我慢が足りない」「わがまま」などと言われたりして、本人も自分が悪いと責めてしまうこともあります。
しかし、他人は起きたことの事実だけを見ていっているだけで、無責任な言葉です。
普通に育ってきた人と、毒親育ちの人では、育ってきた環境が全く違います。
毒親の事情知らない人から何か言われても、真に受けないことが大切です。
親は変わらないことを理解する
自分の親が毒親であると分かると、「親に自分が毒親だと理解してもらいたい」「自分に対する態度を変えてほしい」のように思うかもしれません。
しかし、毒親はそのままの考え方で何十年も生きてきた人です。そう簡単には変わりません。
親に「あなたは毒親です」といっても、毒親は「今まで育てた親に対して毒親とは何だ!」のように反論されてしまう可能性の方が高いでしょう。
時が経てば、親も自分の過ちに気付くかもしれません。
しかし親を変えようとするよりも、今後自分がどう生きたいのかを考えることの方が大切です。
親と物理的に離れる
毒親と離れられる年齢であれば、別居することをおすすめします。
物理的な距離を置くことで、自分の精神状態や親子関係を冷静に見られるようになるからです。
自分の親が毒親だと分かっていても離れられない人がいますが、共依存の可能性があります。
共依存は親が子供の選択権を奪ってきたことで、子が自立性を失っている状態です。
自立性のない子供は、自分の意見がない、分からないので親に依存します。
いきなり別居するのが難しく感じるときは、家にいる時間を減らす、家以外に過ごしやすい場所を見つけるなど、少しずつ親と距離を取るようにするのがおすすめです。
毒親を介護する義務はない
毒親でも、親の面倒を見なければならないのかと思う人もいるでしょう。
「親の老後は子どもが面倒を見る」というのは、普通の家庭に当てはまるものであって、毒親の場合は例外だと思います。
そもそも毒親は子供が健全に育つ環境を与えられなかった時点で、親の役目を果たしていません。そうした人は「人の親」ではなく、ただ子どもをつくっただけです。
子供の人権を尊重せず、介護されなくても仕方のないことを今までしてきた訳です。
親も親で色々と悩みを抱えていたのかもしれませんが、それを子供に八つ当たりのようにぶつけていい道理はありません。
日本は子供が親の面倒を見なくても、国から老後支援を受けられます。
面倒を見ないことで親不孝と言われたとしても、そういう人は毒親がどういうものかを理解していない人なので、聞き流した方が良いでしょう。
介護したくなければする必要はありませんし、毒親でも親と思えるなら、介護するのも自由だと思います。
心療内科に相談する
毒親の影響で生きにくさを感じる場合、心療内科を受診したり、相談するのも対処法です。
カウンセリングを受けることで自分の心の状態を見つめやすくなり、これからどう生きるのかや、人との関わり方について専門家の力を借りながら考えることができます。
また自分の家庭の事情を知っている人がいるというだけでも、心が楽になったり、支えになることがあります。
家庭の事情は中々人には話せないこともあるので、一人で抱え込んでしまいがちです。
気楽に話せる人が身近にいないと言う場合は、相談することも検討してみてください。
毒親を許さなくても良い
毒親を許したくなければ、無理に許す必要はありません。
親を恨むことに罪悪感を抱く人がいますが、そもそも恨まれるようなことを先にしたのは親の方です。
それでも親を恨むのは辛いと思うなら、「恨んでもいいんだよ」とそういう自分さえも認めて受け入れる意識を持ってみましょう。
人間関係は常に一定ということはないので、時が経てば自分の考え方や、親との関係性が変わることもあります。
許すか、許さないと深刻に考えると自分自身が疲れるので、親のことばかり考えるのが嫌な人は、時の流れに判断を任せるという考え方もあります。
毒親への復讐は許されるのか
毒親に仕返しはおすすめしない
親のせいで人生が上手くいかない思うと、親に対しての怒りや恨みの念が湧いて来ると思います。すると自分が親にされてきたことを、親に対して仕返ししたくなるかもしれません。
しかし仕返ししたい気持ちが起こるのは、親への依存が抜けていないことを意味するため、おすすめはしません。
嫌いな親のことで頭が一杯になる、憎しみしか考えられない、これが一生続いたとすれば、自分の生涯は親に振り回されて終わります。
また親への憎しみが続くと、人によっては顔付きや話し方、生き方まで親に似てくることがあります。
なぜなら嫌いと思っていながら、精神的に親に依存しているからです。
こうなると本人は気付かないでしょうが、他人から見れば似た者同士が延々と争っているようにしか見えません。
我が子にさえ思いやりを持てない人は、わざわざ仕返しをしなくても勝手に不幸になっていきます。
そういう人のために自分の人生を使うのは無駄と思う人であれば、復讐はしない方が賢明でしょう。
自分が幸せになる
毒親に復讐するなら、自分の幸せを見つけることが復讐になります。
依存的な親、嫉妬深い親であれば、子供が自分の元を離れて幸せになるほど不安や劣等感、ストレスに苛まれます。
親が得られなかった幸せを自分が手に入れたら、それは大きな自信にもつながるでしょう。また自分が幸せになれば、親に関心が向かなくなることもあります。
そして見方を変えれば、毒親は不幸になる生き方を、体を張って教えてくれていたという風に考えることもできます。
毒親への恨みで人生を支配されたくないなら、親の嫌な面を見たら「自分はこうならないようにしよう」と反面教師に考えてみましょう。
親に制限されてできなかったことをやる、親に無理だと言われた夢を目指す、理想の家庭を築く、子供を大切にするなど、自分の行動次第で今後の人生は変えられます。
法的措置を取る
どうしても毒親に復讐せずにはいられないなら、法的手段を取るか、法に触れない程度に仕返しするしかないと思います。
- 暴力があった→暴行罪、傷害罪
- 言葉の暴力→脅迫罪、恐喝罪、名誉棄損罪
- 財産を盗まれた→窃盗罪
- 身体を触られた→強制わいせつ罪
- つきまとい、監視行為→迷惑行為防止条例違反
親子でも違法になり得ることをされた場合は、訴訟を起こせることがあります。
訴えずに復讐するのであれば、法に触れない程度にしましょう。犯罪行為をすれば、結局親のために自分の人生を狂わされることになります。
- 絶縁して連絡を無視する、連絡先や住所を教えない
- 毒親は外面が良い傾向があるので、親の本性を周囲に暴露する
- 結婚式に招待しない
- 親に過去に言われた、されて嫌だったことを会う度に言う
- 親の嫌味には嫌味で返す「お前は本当に○○だな(嫌味)」→「そうだよ、私はあなたの子だからね」
- 親の大切にしているものを全て貶す、「ださい」「汚い、古臭い」と価値がないもののように扱う
- 親が困っていても助けない、相談されても他人事のように聞いている、老後は一切面倒を見ない
など、親がされたら不安になったり、嫌な気分になるであろうことが復讐になるでしょう(暴力行為は犯罪になるため、それ以外の方法を考えましょう)。
特に毒親は子供に依存していることが多いため、絶縁や無視は効果的です。
相手と直接関わる復讐方法は、自分の身も心も削られストレスが溜まります。そのためあまりおすすめはしません。
ただし徹底的にやり返したり、戦わないと気が済まない人は、仕返しすることで「自分の権利を取り戻した」「過去のトラウマを克服できた」と感じることもあるため、復讐するかどうかは、自分の気質を考えてからにした方が良いでしょう。