人付き合いが苦手な人というと、人見知りなどの性格が考えられますが、人見知り以外にも人付き合いが苦手になる原因はあります。人付き合いが苦手な人の心理や克服法をご紹介します。
人付き合いが苦手な人の心理・特徴
シャイ・人見知り
シャイ、人見知りの人の中には、実は人付き合いが苦手と思っている人は大人になっても多くいます。そして、苦手だからこそなるべく他人を避けるタイプと、苦手でもあえて他人と関わろうとするタイプの人がいます。
あえて関わろうとするタイプの人は明るく普通に接しているので、意外に人見知りだと気付かれにくいのも特徴です。また、仕事上の人付き合いは普通にできても、プライベートでの人付き合いは苦手など、場面によって人付き合いが苦手に感じる人もいます。
束縛されたくない・一人が好き
人付き合いが多いと、それだけ一人で過ごせる時間がなくなります。一人の時間が好きな人にとっては、自分一人の時間がなくなることはストレスでしかありません。一人が好きな人は、なるべく人と深くかかわらないよう、あえて人付き合いを避けることもあります。
自意識過剰
自分が人にどう見られているか気にするばかりに、人付き合いが面倒になってしまうタイプです。相手に「変に思われていないか」、「嫌われるのではないか」という気持ちが強いと、人付き合いで不安感を抱えやすくなります。人目があまりに気になる場合、社交不安障害など心の病気を発症している場合もあります。
社交不安障害は気の持ちようではなく、脳内の精神を安定させる化学物質のバランスが崩れてうまく機能していない状態の病気です。人付き合いが苦手で引きこもりになったり社会生活に支障が出ているようであれば、心療内科・精神科などへ相談することも必要です。
プライドが高い
プライドが高い人の中には、自分以外の人間を内心見下している人もいます。人を見下す心理があると、「なぜ、わざわざ自分が他人を話さなければらなないのか」という気持ちから、人付き合いが面倒、鬱陶しいと感じて人と関わりを避けることがあります。
寂しがりや
人付き合いが苦手だけど、一人は寂しいと感じる人もいます。コミュニケーションを取るのは苦手だけど誰かと仲良くなりたい、上手く言葉にできないけど、本当の自分を分かって欲しいという願望から寂しさが生まれます。
また、明るい自分を人前で演じることで人と関わることに苦痛を感じ、自分のネガティブな面も誰かに理解してほしいという思いから、寂しさが生まれることもあります。
トラウマ
過去にいじめや虐待を受けた人は、もう人と関わりたくない、傷つきたくない気持ちから人との関わりを避けてしまうことがあります。
虐待を受けていた場合は、親との正常なコミュニケーションが取れていないために、大人になっても人との関わり方が分からず、どう接していいか分からず、人付き合いが苦手と感じてしまうこともあります。
人付き合いが苦手な人は病気?
コミュニケーション障害
コミュニケーション障害は、他人と十分なコミュニケションを取ることができない障害の一種です。先天的なものは自閉症などの発達障害が原因ですが、多くは心因的なものが関係しています。コミュニケーション障害の症状には、以下のようなものがあります。
- 相手の目を見て会話できない
- 相手の表情から感情を読み取ることができない
- 人の気持ちや言葉の裏側にある意味を理解できない
- 冗談との区別ができない
- 自分の話を始めると止めることができない
- 場の雰囲気を読めない
- ルール、約束が守れない
- 人間関係で悩みやすい
- 人ごみが嫌い、外出が苦手
社交不安障害
社交不安障害は、対人関係が必要な場面で過度な恐怖や不安を感じる病気です。社交不安障害になりやすい人は物事へのこだわりが強かったり、神経質、心配性などの性格の人に多くみられる不安障害です。社交不安障害の症状には、以下のようなものがあります。
- 自分の発言・行動が他人を不快にさせるのではと思う
- 自分の容姿や性格に劣等感を感じている
- 人前で自然に笑うことができない
- 人前で赤面することに不安や恐怖を感じる
- 人前に出ると汗が止まらない
- 他人から見られていると緊張し、自然にふるまえなくなる
- 誰かと会話した後に、うまく会話できただろうかと考える
- 会話の輪にうまく入りこむことができない
統合失調症
統合失調症は、現実と妄想の区別がつかなくなる病気です。統合失調症の症状によって、人付き合いが苦手、恐怖に感じてしまう場合もあります。統合失調症の症状には、以下のようなものがあります。
- 道ですれ違う人が自分のことを話していると思い混む
- 自分の側で離している人が自分のことを話していると思いこむ
- 周りの人が自分を嫌っていると思い込む
- 周りの人が自分の悪口を言う幻聴が聞こえる
- 外出が怖くなる
人付き合いが苦手な人は結婚できるか
人付き合いが苦手な人に多い相談が、結婚できるかという悩みです。人付き合いが苦手な人でも結婚はできます。「自分は人付き合いが苦手だから結婚なんて無理だ」と決めつけていると、本当に出会いがなくなってしまいます。
「どうせ結婚できない」と思っていると、そのネガティブな雰囲気を感じて、自分の周りにネガティブな人ばかり集まってきます。そして、魅力的な人はどんどん遠ざかっていってしまいます。
結婚願望があるなら、好きな人が現れたときにアピールできる趣味や特技そ今のうちに磨いておきましょう。人と話すことが苦手なら、文章で気持ちを上手く伝えられるよう手紙やメールを書く練習をしてみるなど、他のコミュニケーション方法を磨くことで、好きな人に気持ちを伝えることもできます。
人付き合いが苦手な人の克服法
人付き合いが苦手=悪いことと思わない
自己啓発本や発達障害に関する著書には、人付き合いが苦手なのは悪いこと、欠陥であると思わせるような表現が掲載されているものがあります。メディアや著書の影響で「人付き合いが苦手なのは悪いこと」と思っている人が昨今多いですが、そうした考えに流されるのは、ある意味洗脳されている状態です。
「人付き合いが苦手なのは悪いこと」と思わせることによって、人付き合いの苦手を克服する本を買わせたり、セミナーや勉強会に参加させるというように、情報商材系の商売でお金を儲ける人がいます。人付き合いが苦手なのは悪いことと思いこんでいる人は、そうした商売をしている人にとっては格好のターゲットです。
自己啓発に関する著書や情報商材の全てが悪質という訳ではありませんが、「人付き合いが苦手=悪いこと」という考えがトラウマなどが原因ではなく、世の中の風潮に影響されているものであれば、まずは自分が洗脳されていることに気付くことが大切です。
皆と仲良くする必要はない
日本は集団行動の意識が強い国です。「友達100人できるかな」という歌があるように、子どもの頃から「一人でも多くの友達がいた方がいい」と刷り込みをされています。
人付き合いが苦手で友達が上手く作れなかったり、他人との関係の築き方が分からないと、自分はダメな人間であるように思い込んでしまいやすい環境でもあります。
しかし、元々人間は皆と仲良くすることはできません。人には好き・嫌いの感情がある以上、どうしても合わない人はいます。合わない人というのは友達や職場の人だけでなく、家族間でも起こり得ます。
その好き・嫌いの感情を我慢してまで気の合わない人と無理に過ごしていると、人付き合いが面倒になり、苦手に感じられてしまいます。人付き合いが苦手な人は、「人付き合いが苦手なことはいけないこと」ではなく、「苦手でもいいや」と自分の気持ちに素直になってください。
職場では関わりたくない人とは極力関わらない、気の合わない友達との関係は断つ、仲が良くない親兄弟とは離れて暮らすというように、自分にマイナスの感情を起こさせる人とは距離を置きましょう。
人付き合いが多い人のデメリットを考える
人付き合いが苦手な人は、ムードメーカーのような人気者や明るい性格の人を見ると、「あの人に比べて自分は……」と自信喪失したり、羨ましい気持ちが起こるときもあると思います。
しかし、友達が多くいる人は賑やかに見えても、それで本人が幸せとは限りません。人付き合いが多いことにはデメリットもあって、知り合いが多い分、それだけ人間関係のトラブルに巻き込まれやすかったり、一人で落ち着ける時間がないといった面もあります。
人付き合いが苦手な人は、そうしたデメリットの面にも耐えられるか考えてみてください。耐えられないと思うのであれば、今、人と関わりを避けている状況は、本当の自分は誰かと一緒に過ごすことよりも、一人で過ごすことを望んでいると考えられます。
コミュニケーション力を鍛える
コミュニケーションは人と話すことと思われがちですが、話すこと以外でも人はコミュニケーションができます。
手紙、メールなどの文章でコミュニケーションを取ることもできますし、イラストを描く、楽器を演奏するなどの趣味を通じて、人と仲良くなることもできます。口下手だと思うのであれば、会話以外のコミュニケーションを磨いて自信をつけるのも克服法の一つです。
特に文章が上手いことはプライベートだけでなく、仕事でも役に立ちます。しっかりした文章が書ける人は誠実な印象を与えるので、口が上手い人よりも信頼されやすい長所があります。
海外に移住する
人付き合いが苦手な人には、人が嫌いというわけでなく、人に合わせるのが苦手という人もいます。そうした性格の人にとっては、集団行動の意識が強い日本は窮屈に感じられると思います。
自分らしい生活を送りたい人は、個人・自由主義の傾向が強いアメリカなどの外国に移住する方法もあります。個人主義の国では他人の考えに合わせる人よりも、自分の考えをしっかり持っている人が自立していると認められます。個性を活かしたライフスタイルを送りたいという人は、海外に移住して環境変えてしまう方法もあります。