自分の親が毒親であると思う人は、毒親に「仕返しや復讐したい」という気持ちが生まれることがあると思います。
毒親の定義や診断方法、また毒親への対処法などを紹介します。
毒親とは?
毒親とは、子にとって毒になる親のことを言います。
愛情や信頼関係がある健全な親子と違い、毒親は自分の子に愛情を注ぐことができません。
毒親の場合、親子関係が主従関係で成り立っています。
親のエゴによって子どもが支配されている状態で、子は親に逆らうことができません。
会社に例えればパワハラのような状態です。パワハラであれば会社を訴えることもできますが、親子関係となると、そうもいかないのが今の日本の現状です。
日本の法律は、家庭内の事情には関与しない姿勢を取っています。事件性が認められない限り、警察が動くことはありません。
家庭内の問題に第三者が関わる場合、心療内科、児童相談所などを間に挟んで解決していくしか方法がありません。
また、自分の親が毒親であることに気付かない人も多く、社会人となって生きにくさを感じ診察を受けたところ、親が毒親であることに気付くケースが増えています。
毒親の元で育つとなぜ生きにくさを感じるのか?
毒親育ちの人は、人を信用できないなど人間関係の悩みを抱える傾向があります。
親は子が生まれて初めて接する人間です。子は親から愛情を受けて成長し、互いに信頼関係を結んでいくようになります。
しかし毒親は、我が子に愛情を注ぐことができません。
子供が自分の言うことを聞かないと、暴力を振るう、脅すなど強制的に言うことを聞かせようとします。
毒親の元で育った子は愛情をもらい、信頼関係を築くという人間関係の基礎を学ぶ場を与えられずに育ちます。
そのため社会に出ると、どのように人間関係を築けば良いのか分からず、本人も原因が分からず苦しむようになります。
毒親の特徴
自分の親が毒親かもしれないと思った場合は、当てはまるものについてチェックしてみてください。以下の項目で半分以上に該当すると、毒親である可能性があります。
- 命令口調の話し方をする
- 「これくらいでは世の中を渡っていけない」、「もっと努力しろ」などプレッシャーをかける言葉を使う
- 「育てるのにいくらかかった」など子どもにお金の話をする
- 「育ててやったんだから、老後は介護しろ」など感謝や見返りを求めてくる
- 「言うことを聞かないなら、親子の縁を切る」など、脅し言葉を使う
- 勉強、習い事などで常に完璧を求めてくる
- その日の気分で子どもに対する態度が変わりやすい
- 親がヒステリック、感情の起伏が激しい面を持っている
- 子どもの目の前で夫婦喧嘩する、または互いの悪口を言う
- 「恥ずかしいから大人しくしなさい」など、世間体を気にする言葉をよく言う
- 親が家族とそうでない人への態度が違う(外面が良い)
- 冗談を言い合えないなど、家庭内の雰囲気に緊張感がある
- 子どもの意見を聞き入れない、習い事などやりたくないことを強制する
- 子どもの好きなものを認めない
- 子どもの話を聞かずに一方的に話す
- 子どもに共感しない、子どもが不安を抱えていても理解しようとしない
- 自分の言うことが正しいと信じて疑わないところがある
- 理由を言わずに突然子どもを怒鳴る、何かを禁止する
- 誕生日、クリスマスなど記念日のイベントを無視する
- 体罰、暴力で子どもを大人しくさせる
- 子どもの外見や性格の悪口を言う
- 子どもの髪型や服装について厳しく指摘する
- 子どもの間違いばかりに気付いて注意する、褒めない
- 友人、恋人関係など子どものプライベートを詮索する、口出しする
- 学校や会社のことについて色々聞いてくる
- 子どもの部屋に勝手に入る、日記や携帯を勝手に読む
- 子どもの人生を支配しようとする、親元から離そうとしない
- 子どもの成長に必要な衣食住の場を与えない
- 親族に精神疾患や依存症を抱えている人がいる
- 親の親(祖父母)が親に虐待をしていた
毒親に育てられた人の特徴
毒親に育てられた人の特徴を示すチェックリストです。以下の項目で半分以上当てはまる場合、毒親に育てられた可能性があります。
- 気分が移り変わりやすい、喜怒哀楽が激しい
- うつ病、摂食障害、何らかの依存症を発症している
- 自傷行為をしている
- 完璧主義な面がある、常にプレッシャーを感じている
- 親、他人と接するときに不安や緊張を感じやすい
- ストレスを感じやすく、疲れやすい
- 人の目が気になる、人の目を気にしないようにすることができない
- 他人から嫌われるのが怖い、八方美人になる
- 他人に警戒心を抱く、心を開けない
- 人間関係に悩みやすい
- 人間関係がうまくいかず、転職を繰り返す
- 異性と交際することが難しいと感じる
- 自分に自信がない、他人を見ると劣等感を感じる
- 友人や恋人であっても、他人を信用できない、嫉妬深くなる
- 人に暴力を振るう、暴言を吐くことがある
- 親といると気を遣う、「良い子」を演じる
- 親のことを考えると「介護しなければならない」など義務感を感じる
- 本当は親から解放されたいと思っているが、罪悪感があるので離れられない
- 親に復讐したい、絶縁したいという思いがあり、恨んでいる
- 親のようにはなりたくない、容姿や性格が親に似るのは嫌だと感じる
- 子どもとどう接して良いか分からない、子どもを見ると自分の幼少期を思い出す
- 子どもを持つことに抵抗感を感じる
- 自分の育った環境は恵まれていないと感じる、そのせいで今不幸になっていると感じる
- 友人や恋人の話に共感できない、自分は他の人とは違う人間のように感じる
- 世間の常識と自分の考えに「ずれ」を感じることがある
- 自分のやりたいことが分からない、自分で自分の人生を決めることができない
毒親に対する対処法
他人の言葉に左右されない
毒親育ちの人は、人間関係に苦しみ不登校や転職を繰り返すなど、生活を維持するのが困難になることがあります。
更に周囲の人から「我慢が足りない」「わがまま」などと言われたりして、本人も自分が悪いと責めてしまうこともあります。
しかし、他人は起きたことの事実だけ見てあれこれ言っているだけです。
平和に育ってきた人と、毒親育ちの人は育ってきた環境が全く違います。
毒親の事情知らない人から何か言われても、真に受けないようことが大切です。
親は変わらないことを理解する
自分の親が毒親であると分かると、「親に自分が毒親だと理解してもらいたい」「自分に対する態度を変えてほしい」のように思うかもしれません。
しかし、毒親はそのままの考え方で何十年も生きて来た人です。そう簡単には変わりません。
親に「あなたは毒親です」といっても、毒親は「今まで育てた親に対して毒親とは何だ!」のように反論されてしまう可能性の方が高いです。
時が経てば、親も自分の過ちに気付くかもしれません。
毒親育ちの人は親を変えようとするよりも、今後自分が親とどう関わっていきたいのかを考えることが大切です。
親と物理的に離れる
毒親と離れられる年齢であれば、別居することをおすすめします。
物理的な距離を置くことで、自分の心の状態や親子関係を冷静に見られるようになるからです。
自分の親が毒親だと分かっていても、何となく大人になっても親から離れられない人がいます。
これは親が子供の人生の選択権を奪ってきたことで、子が自立性を失っている可能性があります。
自立性を失っている子供は、自分の意見が無いので親に依存します。
親と子が互いに依存し合うので共依存ともいいますが、これは一種の洗脳です。
分かりやすい例がマザコン(ファザコン)です。親が子供に関することを何でもやってしまうので、子供は自立できなくなってしまいます。
いきなり別居するのが難しく感じるときは、家にいる時間を減らす、家以外に過ごしやすい場所を見つけるなど、少しずつ親と距離を取るようにするのがおすすめです。
毒親を介護する義務はない
毒親育ちでも、親の面倒を見なければならないのかと思う人もいるでしょう。
「親の老後は子どもが面倒を見る」というのは、一般家庭にのみ当てはまるものであって、毒親の場合は例外です。
そもそも毒親は子供が健康的に育つ環境を与えられなかった時点で、親として失格です。そうした人は「人の親」ではなく、ただ子どもを産んだ人間であるだけです。
子供の人権を尊重できない人間は、子から感謝されない、介護されなくても仕方のないことを今までしてきた訳です。
親も親で色々と悩みを抱えているのかもしれませんが、それを子供に八つ当たりのようにぶつけていい道理はありません。
面倒を見ないことで「親不孝」と言われたとしても、介護したくなければする必要はありません。
また、毒親を持つ人に「親不孝」と言う人は、毒親がどういうものか理解していない人です。事情を知らない人にあれこれ言われる義理はありません。
日本は子供が親の面倒を見なくても、国から老後支援を受けられます。
ですから、毒親の老後については自分は知らない、面倒も見ないという考えも許されることを理解してください。
心療内科に相談する
毒親の影響で生きにくさを感じる場合、心療内科を受診するのも対処法です。
カウンセリングを受けることで自分の心の状態を見つめやすくなり、これからどう生きるのかや、人との関わり方などの相談ができます。
また、自分の家庭の事情を知っている人がいるというだけでも、心の支えになることがあります。
家庭の事情は一人で抱え込まず、専門機関に足を運んで、様々な人から助けを受けることも必要です。
毒親を許さなくても良い
毒親を許したくなければ、許す必要はありません。
親の方が自分のしてきた過ちに気付き、謝罪してくることもあるかもしれません。
しかし、その謝罪は子供の同情心を買って、自分の元に取り戻したい気持ちが含まれている可能性もあります。
自分が心から許しても良いと思えるまでは、親を許す必要はないです。
毒親に仕返しはおすすめしない
親のせいで人生が上手くいかない思うと、親に対しての怒りや恨みの念が湧いて来ると思います。
すると自分が親にされてきたことを、親に対して仕返ししたくなるかもしれません。
しかし、仕返ししたい気持ちが起こるのは、親への依存が抜け切れていないことを意味します。
嫌いな親のことで頭が一杯になる、親への憎しみしか考えられない、これが何十年も続くと、顔付きや話し方、生き方まで似てくるようになります。
なぜなら嫌いと思っていながら、親に精神依存しているからです。
結局自分の人生の時間を、親のために使ってしまうことになります。そして、親と似たような人生を送ることになります。
毒親のように自分の子供すら大切にできない人は、わざわざ子が仕返しをしなくても勝手に不幸になっていきます。
自分のために生きるなら、毒親への仕返しは考えない方が賢明です。
毒親への復讐は幸せになること
毒親に復讐するなら、自分の幸せを見つけることが最大の復讐です。
毒親は不幸になる生き方を、生涯を通してあなたに見せてくれる存在です。
親の嫌な面を見たら「自分はこうならないようにしよう」と反面教師にしましょう。
親に制限されてできなかったことをやる、親に無理だと言われた夢を目指す、理想の夫婦関係を築く、子供を大切にするなど、親と過ごした時間は取り戻せなくても、自分の行動次第で人生は変えられます。