「片付けるように言っても捨ててくれない」「部屋がゴミ山になっていて、足の踏み場もないほど汚い」など、家族に物を捨てられない人がいて困ることはありませんか?
物が捨てられず部屋にゴミがたまっていくのは、だらしないのではなく、「ためこみ症」という精神的な病気が関係していることもあります。
物を捨てられなくなる原因や物を捨てられなくなる病気、物を捨てられない人への対処法についてご紹介します。
物を捨てられない人の特徴
執着が強い
物を捨てられない人は、使わない物があっても「使わないから捨てるか」でなく「いつか使うかもしれない(捨てたくない)」と考えるので、どんどん部屋に物がたまっていきます。
不要物がある程度たまってきたら捨てられる人もいますが、捨てられない人の部屋は使わないもので山積みになり、最終的にゴミ屋敷になることもあります。
整理整頓が苦手
物を捨てられない人は、掃除を始めてもゴミを捨てようと思うのでなく、捨てられない理由を探してしまいます。
そしてやっぱり捨てられないと元の場所に戻したり、手にした本を読み始めてしまったりと、掃除に集中することが苦手です。
必要のないセール品を購入する
物を捨てられない人は、今必要がない物を安い値段だからとつい衝動買いしてしまい、家に不要物がたまっていく特徴があります。
使うのなら良いですが、結局使うことがないまま置きっ放しにしてしまい、「いつか使うかもしれない」「せっかく買ったのにもったいない」などの理由で捨てることができません。
こだわりが強い
物に対するこだわりが強い人は、同じものをいくつも購入することがあります。
例えば食器や調理器具などを「これは肉用」「これは野菜用」と細かく分ける余り、台所に収納しきれないほど大量に持っている、同じ洋服で色違いを大量に購入するなどの特徴があり、必要最低限で済ませられないので、必然的に物が多くなっていきます。
物を捨てられない人の心理
もったいない精神
物を無駄にしないのは良いことではありますが、もったいない精神も行きすぎると病的になってきます。
もったいないと思う物を何に使うのか、目的が分かっていれば物はたまりません。
「いつか何かに使えるかもしれない」と思って放置する場合、それは何かに再利用しようというより、「タダで捨てるのはもったいない」と物に対して執着している状態なので、簡単に物が捨てられなくなります。
思い出を捨てたくない・忘れたくない
思い入れのあるものを無理に捨てる必要はないと思いますが、外から同じものを拾ってくる場合、その理由にも思い出が関係していることがあります。
例えば石が好きな人が次々石を拾ってくる場合、本人は石に対する何らかの思い入れがあるため石を拾ってきます。
それは「子供の頃、綺麗な石を拾って見せたら、皆が喜んでくれた」など、ほんの些細な理由でも、本人にとって良い思い出として記憶にある場合、その良い思い出をつくってくれたものに執着し、繰り返し拾ってくることがあります。
捨てることに恐怖感がある
いらない物を捨てようとしても捨てられない場合、恐怖心が原因でゴミを捨てられない場合があります。
「家の中にあるものを捨てると、自分の体の一部を失うような恐怖があり、どうしても捨てられない」といった理由でゴミを捨てられない場合、ただの怠けでなく精神的な問題が関係していることもあります。
物を捨てられなくなる病気
物を捨てられないこと、それ自体は病気ではありません。
ただ、「家がゴミ屋敷になるほど物であふれている」「ゴミを捨てず山積みに置いている、腐っても放置している」というように、日常生活に支障が出るほど物があふれている場合は、精神疾患の可能性があります。
精神的な問題で物をため込む場合は「ためこみ症」とも言われ、ただの怠けであると誤解されがちなことから、本人も周囲も気づきにくい特徴があります。
うつ病・セルフネグレクト
うつ病の症状には、意欲・興味・精神活動の低下がありますが、日常生活が思うようにできなくなることからゴミ捨て・掃除ができなくなり、家に物がたまりやすくなります。
セルフネグレクト(自己放任)はストレスが原因で、不衛生な環境で生活しても平気でいたり、食事をしない、病院にもいかないというように、健康的に生活を送ろうとする意欲が低下する症状があります。
強迫性障害
「いらないものでも、いつか使うかもしれないから捨てられない」「全部思い入れのある物なので捨てられない」「大事なものを間違って捨ててしまうのではとも思い、他のゴミも捨てられなくなる」など、捨てることに恐怖感がある場合、強迫性障害の可能性があります。
強迫性障害の場合、「このままだと家がゴミ屋敷になってしまうことは分かっていても、強い恐怖心からどうしても捨てられない」というように、本人は強い葛藤を抱えているのですが、恐怖に支配されて行動に移すことができません。
強迫性障害は人によって様々な症状がありますが、物をため込む場合は強迫性貯蔵症(ホーディング)とも呼ばれます。
ADHD
「きれいにしたいと思っているけど、掃除に集中できない」「片付けを始めても別のことに気が向いて、掃除していたこと自体を忘れている」という場合、ADHD(注意欠陥・多動性障害)が考えられます。
別名「片付けられない症候群」とも呼ばれ、1つのことに集中するのが苦手なため掃除に集中できず、段々と家にゴミがたまっていく特徴があります。
認知症
高齢者で「以前はゴミを捨てていたのに、捨てなくなった」「まだ家にあるのに、同じものを買ってくる」などの症状があるときは、認知症が原因かもしれません。
記憶力低下によりゴミの日を忘れたり、まだストックがあるものを買ってきてしまうなどで、家に物がどんどんたまっていく原因になります。
物を捨てられない人への対処法
生活ゴミは捨てる
生活ゴミをそのまま放置していると、悪臭や虫の発生原因になります。
カップラーメンの容器、総菜のパック、ペットボトルなどが洗わずに山積みになっているときは捨ててしまいましょう。工作など何かに使う目的があって置いてあるなら、綺麗に洗われて保管されている筈です。
もし勝手に捨てたことで本人に文句を言われたとしても、「保管するならきちんと洗うこと、使う目的がないならすぐに捨てること、〇個以上たまったら捨てること、それができなかったら捨てる」というように条件をつけて保管させるようにしましょう。
断捨離させる
物を捨てられない人でも、誰かが付き添って掃除を手伝うと捨てることがあります。
本人に捨てる意思がある場合は「いるもの」と「いらないもの」を分けてもらいましょう。
他人から見ていらないものにしか見えないものでも、本人にとっては思い出のある品であることがあります。
他人の思い入れのある物を勝手に捨ててしまうと喧嘩になったり、押入など見えないところに隠すようになることもあるので、なるべく本人に掃除をさせましょう。
不用品回収を依頼
お金はかかってしまいますが、不用品回収を依頼してもらえば一日で家の中をきれいにしてもらえます。
掃除の手間や時間を省けますし、サービスによっては掃除後に部屋のクリーニングもしてもらえるので、床や壁にゴミの汚れが付着しているときは一気にきれいにしてもらえるメリットがあります。
捨てられない物を預かる
「捨てることに恐怖感がある」など精神的な問題が関係しているときは、家族の誰かが一時、その人の捨てられない物をまとめて預かっておきます。
そして、その物がなくても普通に生活できることを実感させていくと、次第にその物への執着が薄れ、捨てることに恐怖感がなくなり、物が捨てられるように改善していくことがあります。
これは認知行動療法の一種で、徐々に物を捨てることへの恐怖感を治療する方法として行われています。
病院で治療を受ける
精神的な病気を疑う場合は、そのまま放置していても治る見込みはないので、精神科・心療内科など専門医の診察を受けましょう。
診察を受けることで、何が原因で物が捨てられない心理状態になっているのか、本人も周囲も理解しやすくなります。
病気の種類によって、薬物療法や認知行動療法などの治療が行われます。
まとめ
- 執着が強い
- 整理整頓が苦手
- 必要のないセール品を購入する
- こだわりが強い
- もったいない精神
- 思い出を捨てたくない・忘れたくない
- 捨てることに恐怖感がある
- 生活ゴミは捨てる
- 断捨離させる
- 不用品回収を依頼
- 捨てられない物を預かる
- 病院で治療を受ける