仕事、恋愛などの人間関係で思い込みが激しい人がいると意見の食い違い、相手の勘違いなど何かとトラブルが起こりやすく、関わる方もストレスがかかります。
あまりに思い込みが激しく、人の話を聞かない場合は病気を疑ってしまうこともあると思いますが、思い込みの激しさはストレスが原因になることもあり、誰でもなり得るものでもあります。
今回は、思い込みが激しい人の心理や直し方、付き合い方などについてご紹介します。
思い込みが激しい人の心理と特徴
主観的な考え方
思い込みが激しい人は主観的に考えるクセがあり、客観的な判断ができません。嫌な思いをすると自分だけが不幸と思い込んで他人を羨んだり、仕事でミスすると自分は駄目な人間だと思い込み、どこまでも自分を責めてしまいます。
感情的な性格
思い込みが激しく、嫉妬から人に八つ当たりをしたり、人の足を引っ張るなど、思い込みから迷惑をかける人は感情的、攻撃的な性格です。しかし、これは自信のなさ、不安の表れでもあります。
思い込みが激しく他人に感情をぶつける人は、人を攻撃し、足を引っ張ることで自分と同じレベルに落ちてほしいという思い込みを持っています。
本当は人と人の間にレベルなどないのですが、思い込みが激しい人は人を自分より幸せか、そうでないかという上下判断で見ているので、自分より幸せそうにしている人の足を引っ張ろうとします。
足を引っ張られる側からすると嫌われているから邪魔をされていると思うかもしれませんが、実は相手が自分より優れていると認めており、羨ましいと思っている心理があります。
人の話を聞かない
思い込みが激しい人は、一度自分の思い込みにはまると、その思い込みを信じ込んでしまうところがあります。
自分の「~に違いない、~に決まっている」という思い込みを信じると、いくら人から注意されても自分の考えが正しいと思い込んでしまい、人の話を聞きません。人の話を聞き入れられないので、詐欺に遭いやすいタイプでもあります。
繊細・ネガティヴ
思い込みが激しい人は繊細な面を持っています。人と自分を比べて、自分が劣っていると思うと自分が駄目な人間だと思い込んでしまいます。
ポジティブであれば自分も頑張ろうと思えるのですが、思い込みが激しい人はネガティブな人が多く、自分は駄目な人間だと思うと、そのまま一人で自信を失くしてしまいます。
このようなタイプの人は真面目で努力家な人に多く、実際には周囲から優秀だと認められていたとしても、自分はできない人間だと思い込んでいるので、周りからは謙虚だと思われるかもしれませんが、本人はいつまでも自信を持てずに内心苦しんでいることがあります。
思い込みを直す方法
自分の考えを疑う
自分の信じてきたものを疑うのは、今までの自分の考えや価値観を否定するように感じられるので、自分の考えを疑うことは苦しいことです。
しかし、人は誰でも間違いを犯すものなので、いつでも自分は間違っていないと信じて生きていると、かえって大切なものを失うことがあります。
特に、受験、就職、結婚など人生の節目で人から何かを注意、反対されているときは、自分では見えていない危険を人が教えてくれていると思い、たとえ受け入れられなかったとしても耳をふさがず、アドバイスとして受け止めてください。
人の話・経験談を聞く
自分の考えのままに行動して良いか迷ったときには、身近な人に相談したり、同じような経験をした人の話を聞いたり、本を読んでみましょう。
人に相談すれば何かしらのアドバイスがもらえますし、人の経験談には自分の悩みを解決するヒントが隠れています。
本はノンフィクションでも創作でも何でも構いません。特に、戦争や人権をテーマにした作品には、人生のヒントやメッセージがたくさん書かれています。国内外を問わず、さまざまな作品を読んでみてください。
人と比べない
人と比べて劣等感や嫉妬を抱きやすい人は、何でも人と比べる自分の考え方に疑問を持ちましょう。
就職、結婚など人生の出来事には人それぞれにタイミングがあって、それは人と比べても何の意味もありません。
あせって就活をし、何となく就職する、友人がどんどん結婚していくので、あせって自分も婚活に励み、結婚したとします。しかし、そういう自分の人生を後から振り返ったときに、それは幸せといえるでしょうか。
もちろん何となく決めても幸せでいられれば、それはそれで構いません。しかし、あせって判断して嫌なこと、困難な壁にぶつかったときには、「もう少し考えて行動すれば良かった」と後悔するときが来ます。
よく考えて自分で決めたことであれば、壁にぶつかっても「自分で決めたことだから」と納得して前に進めますが、人と比べて振り回される人生は主体性がないので、嫌なことが起きたときには、必ず後悔が付きまといます。
思い込みが激しく自信を失いやすい人は、人の話や経験談はあくまで参考にするものであって、自分の人生と比べるものではない、人は人、自分は自分という考えを意識してください。
思い込みが激しい人に考えられる病気
統合失調症
統合失調症の症状として、不安や幻覚、被害妄想などがあり、これらが原因で思い込みが激しくなり、人間関係でトラブルを起こすなどの事例があります。
統合失調症になると、みんなが自分の悪口を言っている、監視しているなどの妄想が生まれ、これらの症状はストレスなどが原因で発症することもあります。
妄想性障害
妄想性障害は自分が飛び抜けた才能を持っている、配偶者や恋人が不倫をしていると疑うなどの妄想を持つ症状があります。
「宇宙人にコントロールされている」など飛び抜けた妄想ではなく、妄想の内容も現実的であるのが特徴です。そのため、妄想かそうでないかを判断するには病院での治療が必要になります。
非定型うつ病
非定型うつ病は10~30代の女性に多くみられるもので、症状の一つに他人からの評価がとても気になるというものがあり、人から良く思われたいという気持ちからさまざまな思い込みを持つことがあります。
例えば、自分の側で誰かがヒソヒソ話をしているだけで自分の悪口を言われていると思い込んでふさぎ込んでしまう、人前で失敗して恥をかいたと思い、引きこもりになるなど被害妄想的な症状があります。
思い込みの激しさに精神的な病気が考えられる場合は、脳の働きが原因の場合もあるので、気の持ちようで済まさず、一度精神科や心療内科を受診する必要があります。
思い込みが激しい人との付き合い方
聞き流す
思い込みが激しい人と関わりたくないときは、肯定も否定もせず「へえ、そうなんですね」というように、話を聞き流すようにしましょう。
思い込みが激しい人は自分が思い込んでいるだけで根拠のない話をすることがあり、まともに話を聞いていると矛盾を感じるので、聞いている方がストレスが溜まります。
思い込みが激しい人に反論しても、相手は主観的に物事を考えるので、そう簡単に思い込みが直ることはありません。職場の人、親戚、知り合いなどあまり関わりたくない人の会話は聞き流すようにしましょう。
そういう考えもあると受け止める
思い込みが激しい人と一緒にいて疲れたり、ストレスを感じやすい人は感受性が強く、相手の強いエネルギーに振り回されている状態です。
思い込みの激しい人に振り回されないためには「そういう考え方もある」という風に考えて、思い込みが激しい人と自分の間に一線を引きましょう。
感受性が強い人は思い込みが激しい人と一緒にいると、自分の考えと相手の考えを混同してしまいがちです。
混乱してストレスを感じないためには、「人は人、自分は自分」ということを意識するために、あくまでそういう考え方もあるという客観的な目線を持つことが大切です。
信じてほしいと伝える
恋人、友人などで思い込みが激しく、しつこく浮気を疑う、束縛しようとするなどの行動を取る人は、自分に自信がない、寂しがりやな人です。
もしその人と関係を続けていきたいのであれば、「あなたを一番大切に思っている」ことを言葉や態度で伝えてください。思い込みから人間不信になりやすい人は、自分から大切な人が離れて行かないか、常に不安な心を抱えています。
ですから、「自分はあなたの側にいる」「大切に思っている」「自分を信じてほしい」と伝え続けることで、相手は次第にあなたを信じ、必要以上に疑ったり、束縛することがなくなっていきます。
ただ、いくら愛情の言葉をかけても、過去に裏切られた、傷つけられた経験から、全く人を信じられなくなっている人もいます。そのような人と関係を続けていくのであれば、付き合う方も根気が必要になるので、これ以上付き合切れないと思ったときは、一度距離を置くことも一つの判断です。
理由を聞いてみる
人を疑う気持ちが強く、自分のことしか信じないタイプの人には、なぜいつも一人で判断するのか聞いてみましょう。友人、恋人など親しい人であれば、理由を言ってくれるかもしれません。
人は、過去に自分が受けた心の傷をあまり話したがりませんが、この人なら理解してくれるかもしれないと思った人には、「実は、過去に裏切られたことがある」など、思い込みが激しい性格になった原因を話してくれることがあります。
もし、親しい人に理由を尋ねて答えてくれないのであれば、あなたはまだ相手から信頼されていない証拠でもあります。思い込みが激しい人に心を開いてもらうためには、先ほどご説明したように、根気よく信じてほしいと言葉や態度で表すことが必要です。
トラブルが起きたときは思い込みを疑おう
思い込みが激しさは自覚できれば、直りやすいのですが、思い込みが激しい人は自分の考えが正しいと鵜呑みにするところがあるので、付き合う方も忍耐が必要です。
また、人は誰でもトラブルに遭遇すると冷静な判断が難しくなり、思い込みに捉われやすくなります。誰かを疑う、喧嘩するなどトラブルが起こったときほど、自分が正しいと思いたがるものですが、後悔しないためにも自分のことも疑ってみましょう。
また、思い込みの症状が強い場合は脳の病気が原因になっていることもあり、その場合は気分的なもので済まされるものではないので、病院を受診する必要があります。