自分の将来、仕事や家庭の人間関係、出産や子育てなどの家庭環境などのことで不安を抱えており、なかなか眠れないとお悩みではありませんか?

不安で眠れないときは、眠らないといけないと思えば思うほど眠れなくなってしまいます。実はストレスを抱えているときは、脳が興奮している状態のため、脳がリラックスできずになかなか眠れなくなってしまうのです。そこで今回は不安で眠れないときの症状や対処法についてご説明したいと思います。

不安で眠れないときに動悸がするのは?


動悸とは、ドキドキと心臓の動きが速くなったり、脈拍が乱れたり、ドクンと大きな拍動が起きるなど、自分の心臓の動きを感じる症状です。動悸は睡眠不足や不安で緊張したり、カフェイン摂取や飲酒、喫煙をすると起こりやすい症状で、外部から刺激を受けて身体が興奮状態になるときに起こります。

興奮状態になると緊張状態のときにはたらく交感神経が優位になり、外部の刺激やストレスから体を守るために防御反応として一時的な動脈が起こり、これを洞頻脈(どうひんみゃく)といいます。

特に睡眠不足で動悸が起こる場合はストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が増加します。「コルチゾール」が増加すると身体の運動機能が高まり、血圧が上がって心拍数が増えます。そのため睡眠不足の状態が続くと、動悸が起こりやすくなります。

動悸がして眠れない場合は、なぜ眠れないのか原因を探る必要があります。仕事や家庭環境でストレスを抱えている場合は、自分だけで抱え込まずに心療内科を受診することでカウンセラーに悩みを話すだけでも心が軽くなり、心を落ち着ける薬や漢方を処方してもらうこともできます。

動悸が長く続く場合は、放っておくと狭心症や心筋梗塞、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)など心臓病の初期症状の可能性もあるので、医療機関を受診することをおすすめします。

不安で眠れないときに泣くのは?


不安で眠れないときに泣く場合は、過剰なストレスを抱えている状態だと考えられます。仕事や家事に追われる日々を送り、心を休めない状態で毎日を過ごしていると、自分でも気付かないうちにストレスがどんどん蓄積していきます。その結果、一日の終わりの就寝前にストレスが押し寄せてくるので、身体がSOSを涙という形で発しているのです。

また、女性の場合は毎月同じ時期に涙が出るといった症状が見られることがありますが、これは生理前でホルモンの影響を受けやすくなっていることが原因だと考えられます。

不安で眠れずに泣くような日が続く場合は、自分の身体と心を労わり、なるべく心がリラックスできるような時間を1日1時間は確保することが望ましいです。

不安で眠れないのは病気?

不安で眠れない状態が長く続く場合は、何らかの心の病を発症している可能性があります。不安で眠れないときに考えられる病気にはうつ病や全般性不安障害、自律神経失調症などが挙げられます。

うつ病


これまで楽しめていたことが急につまらない、理由もなく悲しい、などの感情が長引くのはうつ病の兆候だといわれています。うつ病は「不眠や食欲不振などを含めた特定の症状が、2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」と診断基準が決まっています。

うつ病の原因は、「セロトニン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」といった感情や意思を司る脳の神経伝達物質が異常に分泌されていることが原因と考えられています。

脳の神経伝達物質が異常に分泌される原因は精神的・身体的・環境的な要因がほとんどのため、不安で眠れない理由がはっきりしている場合は、うつ病の症状が進行する前に心療内科・精神科を受診する必要があります。

全般性不安障害


全般性不安障害は、アメリカでも約20人に1人が一生のうちに一度以上この病気にかかっているという発症率の多い心の病気です。全般性不安障害を発症している人は、日本でも自分で気付いていない人を含めてかなり多くの人が発症しているといわれています。

人間は誰でも多少の不安を抱えながら生活しているものですが、全般性不安障害になると絶えず強い不安感に苦しみ、心や体の調子が悪くなり、夜も眠れなくなるなど、日常生活に支障をきたす症状が表れます。

全般性不安障害は何かの心配事やストレスがきっかけとなり発症することが多く、現在や過去への不安や悩み、そして将来の予期不安が強く表れやすいといわれます。

全般性不安障害は脳内伝達物質「セロトニン」の働きが元々不安定になりやすく、不安・恐怖症の体質を持っている人が発症しやすいといわれています。そのため心療内科や精神科で全般性不安障害脳のセロトニン神経に作用する抗不安薬を処方してもらう必要があります。

自律神経失調症


自律神経失調症は交感神経の興奮が続くことで起こる症状のことです。自律神経失調症で眠れない場合は、昼間の行動が不眠に影響していると考えられます。自律神経失調症の対策としては、昼間に興奮しすぎない、カフェインを取らない、寝る準備を意識的にするなどの対策を取ることで症状を緩和させることができます。

日中は仕事に集中しすぎたり、運動をしすぎたり、ストレスを強く感じると、心と体が異常に興奮するため、なかなか寝付けなくなります。

自律神経失調症による不眠を改善させるには、日頃から怒ったり、怨んだり、余計なことを怖がるなど物事を深く考えないようにして、交感神経を落ち着けるように心がけることが大切です。また格闘技観戦やスポーツ観戦も交感神経を興奮させるため、長時間観ないようにすることも大切です。

不安で眠れないときの対処法は?

サプリメントを飲む


手軽に足りない栄養素を補ってくれるサプリメントですが、その中には不眠をサポートしてくれる「睡眠サプリメント」もあります。睡眠サプリメントは睡眠の質を高める役割をしてくれる健康補助食品です。

睡眠サプリメントには、魚介類の成分であるグリシンや天然ハーブのセントジョーンズワートやバレリアン、カルシウム、ビタミンB群が含まれているサプリメントなどがあります。

不眠に効果のあるツボを押す


不安で眠れないときは、不眠に効くツボを押すことで不眠対策ができます。不眠に効くツボは百会(ひゃくえ)という頭の頭のてっぺんの中心にあるツボです。百会は不眠だけでなく自律神経系や不眠、ストレスの緩和に効果がある万能のツボとしても有名です。

百会のツボ押しの方法は、頭のてっぺんを指で押すと少しへこむ感じがする部分を頭の両側から両手で包み、両手の中指を使いまっすぐ身体の中心にむかってツボを押します。ツボ押しは自分が丁度いいと感じる強さで15~20回程度繰り返し押しましょう。

医療機関に相談する


サプリメントやツボ押しなどの不眠対策を行っても不安で眠れない状態が3か月以上続く場合は、そのまま放っておくと不眠の症状が進行して頭痛、吐き気、幻覚・幻聴などの症状が表れる場合があります。

またうつ病などの心因性の病気や脳卒中を発症する可能性もあるため、症状が軽いうちに心療内科や精神科などを早めに受診することをおすすめします。

今日から不眠対策をしよう


不眠で眠れなくなる原因や対処法についてご紹介しました。サプリメントやツボ押しなどは不眠対策としてすぐ実践できるため、不眠の症状がまだ軽い方はぜひ実践してみてください。

自分で不眠に関する様々な対処をしてみても不眠が良くならない場合は、何らかのストレスにより身体が興奮状態になっていると考えられるため、心療内科や精神科で心を落ち着ける薬や漢方を処方してもらうことをおすすめします。