窃盗・万引きを繰り返す人の中には、クレプトマニアという障害を持つ人がいます。クレプトマニアは物を盗むことそのものに高揚感を覚え、何度も盗みを繰り返すという症状があるのが特徴です。
クレプトマニアになりやすい人の特徴と、クレプトマニアの治療方法についてご紹介します。




クレプトマニアとは?


クレプトマニアとは、日本語では窃盗症・盗癖(とうへき)といわれます。盗癖とは物を盗む癖がある人のことで、人の者を盗んだり、万引きを繰り返したりすることが自分では止められません。

クレプトマニアの人は自分が悪いことをしているという自覚がある人もいますが、物を盗むときの緊張感と、盗み終えたときのほっとした解放感を味わうことが止められない症状があり、精神障害の1つとされています。

クレプトマニアが物を盗む目的は、一種のスリルを味わいたいという精神状態から起こるものなので、「お金がないので盗みを繰り返す」という人はただの窃盗目的であって、クレプトマニアには当たりません。

クレプトマニアになりやすい人の特徴

盗癖がある


盗癖には「欲しいと思ったら人のものでも盗んでしまう」という人と、「無意識に人の持っているものを盗んでしまう」人がいます。

欲しいものを盗む人はただ「自分が欲しいものを得る」のが目的ですが、無意識に人のものを盗んでしまうという人は、盗んだものが特に欲しかったというわけではなく、「気付いたら何となく盗んでいた」というように、盗んだ物に対して執着がないことがあります。

これは盗むという行動で満足感を得る精神状態から起こるもので、クレプトマニアの特徴の一つです。「気付いたら盗んでいた」という無意識に近い段階だと、盗みが常態化している傾向があります。

依存体質である


クレプトマニアは、何かに依存しないと自分の精神を保てない、依存体質の人がなりやすい傾向があります。

例えば買い物依存症は、買い物をしているときの満足感・高揚感を覚えるために買い物を繰り返すというもので、買い物自体が目的ではありません。過食症はストレスを紛らわせるために大量に食べるのであって、食べること自体が目的ではありません。

クレプトマニアも同じで、物を盗むときの緊張感と解放感を味わいたいために盗みを繰り返します。クレプトマニアの症状は、依存症がある人の特徴に似ています。

また、クレプトマニアは摂食障害との合併も起こります。過食症でものを食べたいという欲求が抑えられず、ふと食べ物を万引きしてしまい、それが癖になって盗みを繰り返すことがあります。

解離性障害


解離性障害は、一時自分が何をしていたのか記憶がない、気付いたら知らない場所にいたという記憶喪失や、自分が夢の中にいるようで現実感がないといった、自分が自分である感覚が失われる精神障害です。

記憶がない間は別の人格が主人格となって行動しており、二重人格だけでなく複数の人格を持つ多重人格など、人によって人格の数は異なります。人格がすり替わる症状は、強いストレスから自己を守るために起こる防衛反応と考えられています。

解離性障害の場合、主人格ではない別の人格が盗みを繰り返し、自分が知らない間に万引きをしていたというケースがあります。

自閉症スペクトラム障害


自閉症スペクトラム障害は、対人関係が苦手で、何かに強いこだわりを持つ特徴がある発達障害の一つです。自閉症スペクトラム障害の発症原因は不明で、現在は生まれつきの脳機能の異常によるものと考えられています。

自閉症スペクトラム障害の症状の一つに、強いこだわりがあって同じことを繰り返す(反復行動)というものがあり、この症状から同じものを何度も盗んでしまうことがあります。

クレプトマニアの治療方法

臨床心理士や精神科医へ相談する


クレプトマニアは精神障害から起こるものなので、自力で治すことは難しいです。臨床心理士や精神科医へ相談し、専門家のサポートを受けましょう。

クレプトマニアの治療方法には認知行動療法が行われます。認知行動療法とは患者の過去から精神障害が発症した原因を探るもので、患者の抱えているストレスやトラウマ、孤独感、幼少期のことなどを話し合い、盗みを繰り返してしまう原因を医師と一緒に探していく治療法です。

例えば学生で盗みを繰り返す子の家庭環境について話を聞いてみると、両親や家族が不仲であるとか、仕事で忙しく構ってもらえなかった寂しさなどが原因で盗みを繰り返すことがあります。

これは問題を起こすことで親や家族に注目されたい、自分の方に関心を向けてもらいたいという心理から起こるもので、盗みが目的ではありません。家族間ではこうした原因に気付きにくく、医師やカウンセラーなど第三者の視点から見ることによって、その原因が解明されやすくなります。

例のように、なぜ盗みを繰り返してしまうのか、その原因を解明して患者や家族に自覚させた後、患者は精神障害の症状に振り回されず、自分の意思で感情や欲求をコントロールする方法を身に着けていき、完治を目指します。

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