仕事が忙しくなりストレスで情緒不安定になる、体調不良で情緒不安定になるというように、精神的に不安定になることは誰にでもあります。

ただし、慢性的に心配や不安感があり、日常生活に支障をきたす場合は、病気の可能性もあるので注意が必要です。

そこで、情緒不安定な人の特徴や対処法、情緒不安定な人が身近にいるときの対応方法についてご紹介します。

情緒不安定な人の特徴

神経質である


日常的に些細な変化に気付きやすい神経質さを持っている人は不安を抱え込みやすく、まだ起きていない事柄に対しても必要以上に心配します。

心配する癖が付くとネガティブ思考になりがちで、思考の深みにはまるほどどんどん不安を抑えきれなくなっていきます。

批判的である

情緒不安定な人は常に不安や不満を抱えていることから、悪口や愚痴を言うことがあります。

情緒不安定な人が口にする批判的な言葉は、不安に耐え切れない心の弱さの裏返しでもあります。

承認欲求が強い

誰かから認められたいという気持ちが強いのは、情緒不安定な心の表れです。

誰かから認められないと心の安定を保つことができないからこそ、人に褒めてもらおうと必死になります。

承認欲求が強い人は自慢も多い傾向がありますが、それは自分は人より優れていると思いたい願望や、人に認められたい気持ちが含まれています。

支配的である


亭主関白な男性、何でも知りたがる女性というように、支配的な性格を持つ人は情緒不安定な人です。

支配的な性格の人は自分が全てを把握していない間に誰かに先を越されるのではないか、騙されるのではないかという不安が常にあり、支配的な行動を取る特徴があります。

同情を誘う行動をする

泣いて人の気を引く、わざと怪我をして人の気を引く、仮病を使うというように、事を起こして人の気を引こうとする人も情緒不安定な人です。

わざと人の同情を誘う行動を取ることで優しい言葉や慰めの言葉をかけてもらい、存在感を認めてもらいたい、安心感を得たいという心理があります。

話を鵜呑みにする

情緒不安定な人が不安で何も考えられない状態になると、周囲に助けを求め、藁にも縋る思いで人の話を鵜呑みにすることがあります。

分かりやすいのが占いに依存するタイプの人です。占いに依存する人は自分の生き方への判断に不安があり、占いの結果をそのまま信じ切って、占いに判断を頼って安心感を得ようとします。

情緒不安定になる原因は?

寂しい


親から無関心に育てられたというように、あまり人に気にかけてもらえる経験がなかった人は、慢性的に心に寂しさを抱えて生きています。

その寂しさが情緒不安定さをもたらし、わざと人の気を引くような行動を取ることがあります。

自傷行為には目に見える傷を作ることで誰かに自分の心の寂しさや不安に気付いて欲しい、心配されたいという意味が含まれています。

自信がない

情緒不安定な人は自信がないからこそ、常に不安定な精神状態に振り回され、不安を埋め合わせようと人を支配しようとしたり、人の言いなりになったりします。

精神的に不安定なのは自信のなさに原因があると気付くまでは、情緒不安定な状態を克服するのに時間がかかります。

裏切られた過去がある

人に裏切られた過去があると「また裏切られるのではないか」という不安が生まれて情緒不安定になり、人を疑って批判的になったり、人を束縛しようとします。

情緒不安定な人が人を疑う原因は本人の過去の経験に基づくもののため、他人が「あなたを裏切るようなことはしない」といっても、一時は落ち着くかもしれませんが、すぐに別のことで疑いを持ち始める場合があります。

情緒不安定の診断方法


情緒不安定を診断するチェックリストです。以下の10項目で半分以上当てはまる場合は、今のあなたが情緒不安定である可能性が高くなります。

  1. 心配事が色々浮かんでくる、不安に呑み込まれやすい
  2. 心配、不安を気にする状態が6か月以上続く
  3. 心配、不安があって落ち着かない、常に緊張感がある
  4. 心配、不安が多く、疲労感がある
  5. 集中力が続かない、注意力が散漫になる
  6. 頭の中が真っ白になって、何も考えられないときがある
  7. 心配、不安が気になってイライラする
  8. 体が凝って固くなっている
  9. 眠りが浅く、熟睡できない
  10. 不安の症状が身体的にも表れている(頭痛、肩こりなど)

情緒不安定なのは病気?


情緒不安定はストレスなどで一時的には誰でも起こり得るものですが、不安定な状態が長期間続き、日常生活に支障をきたす場合は全般性不安障害の可能性があります。

全般性不安障害の症状としては、心配や不安な考えを何度も繰り返す、些細なことでも大げさに心配する、少しでも不安なことがあると、その不安を解決するまで安心できないなどの症状があります。

精神的に常に緊張している状態のため、頭痛や首、肩のこり、動悸や吐き気、息苦しさなどの身体的な症状も表れます。

全般性不安障害を放置していると50%の確率でうつ病に発展する危険性もあるので、早めに精神科、心療内科を受診する必要があります。

情緒不安定なときの対処法

深呼吸する


情緒不安定でパニックになっているときは、体も興奮している状態です。深呼吸して体を落ち着けることで、精神も同時に鎮めることができます。

深呼吸のやり方は、まず肺に溜まっている空気を全て口、または鼻から吐き切ります。息を吐き終えたら、肺の中に空気を送り込むイメージで空気を吸い込みます。

息を吸い込んだ後は息を5秒止めて一時的に体を緊張させ、再び息を吐いて体の力を緩めます。

体を緊張させる、緩めるという動作を深呼吸で繰り返し行うことで、心身共に落ち着きを取り戻す切り替えができるようになります。

体を動かす

不安から注意が散漫になるときは、意識的に何かすることで集中力を取り戻します。

不安に思っていることを紙に書いて手を動かす、ウォーキングする、ストレッチして体を伸ばすなど、体を動かすことで不安で過剰になっている脳の意識を切り替えることができます。

集中できることをやる

不安が頭から離れないときは、仕事、家事、勉強など集中力が必要なことをあえてやります。

何もしない状態でいると脳が暇になるので、普段思い付かないような不安や心配を次々に思い浮かべるようになります。

不安なときは脳が暇になっていると考えて、意識的に集中できることに没頭します。

規則正しい生活をする


偏った食習慣、寝不足は自律神経を失調させます。自律神経のバランスが崩れると、脳が興奮したり、もしくはぼーっとする状態が起こりやすくなります。

脳を安定させる物質を含む魚全般、乳製品、豆腐、バナナ、卵、ほうれん草、わかめなどを積極的に食事に取り入れ、睡眠を6~7時間以上はとる習慣が、自律神経や脳を安定させます。

リラックスする時間を作る

決まった時間に休むタイミングを作ることで、脳がリラックスモードに入りやすくなります。

決まった時間に入浴する、寝る、アロマテラピーをするといった習慣を作ることで、日中に仕事や勉強、家事などで忙しく働いた脳を休めることができます。

病院を受診する

全般性不安障害の疑いがある場合は、早めに病院で相談をすることが大切です。

全般性不安障害は気分的なものではなく、脳機能障害によって引き起こされている場合があります。

脳機能障害とは、脳が不安を感じる部分が過剰に活動してしまう、脳を落ち着かせる神経伝物質のバランスが崩れているなど、脳が不安をコントロールする機能が十分に働かなくなっている状態のことです。

全般性不安障害は精神科、心療内科で医師から適切な治療を受け、脳機能の働きを助ける薬を飲むことによって改善されていきます。

情緒不安定な人への対応方法

共感する


身近に情緒不安定な人がいる場合、その人の気持ちに共感することが適切な対応方法です。

情緒不安定な人が不安で辛い様子だったら、それもその人の個性だと思って「辛いんだね」と共感することで、情緒不安定な人は落ち着きを取り戻します。

情緒不安定な人は自分の不安を誰かに知って欲しい、受け入れてもらいたいという気持ちが深層心理にあるため、そのような気持ちを満たす対応をすることで、不安を軽減させることができます。

自分を持つ

情緒不安定な傾向のある人は、不安から悪口や愚痴を言うことがあります。

情緒不安定な人には共感するのが良い対応方法ですが、悪口や愚痴への同調を求めてきた場合は別です。

そのようなときは「○○さんはそう思ったんだね」というように、情緒不安定な人を否定せず、その人の気持ちに対して客観的な意見をするのが対応方法です。

「悪口って良くないと思うよ」というように情緒不安定な人に注意をすると、情緒不安定な人は自分を否定されたように感じて、イライラしたり、「こんなにイライラするのはあなたのせい」というように、八つ当たりをしてくる可能性があります。

情緒不安定な人と接するときは「その人の言うことを否定しないが、悪口や愚痴は受け入れない、自分は自分」という意識を持って接することが大切です。

聞き流す


情緒不安定な人が心配事や不満をよく話す場合、聞く方も一々共感していたらストレスが溜まってしまいます。

情緒不安定な人がよく話しかけてくる場合は、相槌を打ったり、ときどき相手の目を見て実際に話の内容はほとんど聞いていなくても「聞いているよ」ということを相手に伝えておくのが対応方法です。

情緒不安定な人は人に自分の不安を話すことによって安心感を得られるため、相談に乗って欲しいというよりも、ただ話を聞いて欲しいという心理があります。

心理学ではカタルシス効果といって、誰かに不安を話すだけでも、人は不安を解消することができるという結果が証明されています。

そのため、情緒不安定な人の話を真剣に聞かなくても、情緒不安定な人は話しているだけで自然と落ち着きを取り戻していきます。

全般性不安障害を疑う

心配性すぎると思うほど常に何かを心配しており、ネガティブな考え方をする人の場合は、全般性不安障害の可能性があります。

職場の人や家族、友人などにそのような人がいる場合、日常生活に支障がなければ問題ありませんが、不安のせいで仕事や勉強、家事ができないという場合は全般性不安障害の可能性が高く、病院で適切な治療を受ける必要があります。

情緒不安定には客観的視点を持つ


自分が情緒不安定になっているときも、身近な人が情緒不安定のときも、不安に呑み込まれないよう意識することが大切です。

「今、自分は不安なんだな」、「あの人も不安で大変なんだな」というように一歩引いた視点で自分や他人を判断する心がけは処世術として役立ちます。

客観的視点が持てるようになると、情緒不安定になっても落ち着きを取り戻しせるようになり、情緒不安定にな人に振り回されてイライラするのを防ぐことができます。