第一印象とは?

第一印象とは、初対面の人の見た目や言葉などから、その人の人柄を判断したときの印象のことです。
人は他人を判断するときに、視覚や聴覚などから集めた情報に対して、自分の経験や知識を使って相手を判断しています。人は第一印象を判断するとき、相手のどのような情報を見て印象を決めているのかをご説明したいと思います。




なぜ第一印象を決めるのか?


そもそもなぜ人は第一印象を決める必要があるのでしょうか?人が第一印象を決める理由は、人や物など、自分の身の回りのものを受け入れるためだと考えられています。

人は外部から受け取った情報に対して、自分の経験や知識を通して情報を受け入れています。例えば傷が付いて色味のないリンゴと傷がないつやつやしたリンゴがあれば、私たちは傷がなくつやつやしたリンゴを欲しいと思います。

これは、私たちが傷がなくつやつやしたリンゴの方が美味しいからだと経験的に知っているからです。
このように私たちは経験や知識を使って、自分の生活に役立つように意味づけや価値づけを無意識の内に行っています。

リンゴだけでなく人を判断するときも同じような心理がはたらきます。しかし人を判断する場合は、物を理解するときよりも、その人が行う行動によって、その人を判断しようとします。

例えば人の手では動かせない巨大な岩が頭上から落ちてきた場合、それは自然災害であって、「自分を狙って落ちてきたわけではない」と判断しますが、人が自分に向かって石を投げてきた場合は、石が自分に向かって飛んできたと考えるのでなく、「人が自分に向かって石を投げつけてきた」と判断します。

そして「なぜ石を投げてきたのか?」とその人が石を投げたという事実だけでなく、「自分に何か不満があるのか?」というように、なぜそれを行ったのかその原因を見極めようとします。

石を投げる例のように、日常生活の中で「なぜこの人はこういうことをするのか?」と、行動から原因を見極めようとする心の働きが、第一印象を理解したい心理につながると考えられています。

第一印象は何で決まるの?


社会心理学によると、人が第一印象を意識するときは、ある一定の心の働きが生まれるといわれています。第一印象のイメージは、心理学では主に3つに分類することができます。

①性格特徴…「優しい」「穏やか」「怖い」などのイメージ
②知的特徴…「頭が良さそう」などのイメージ
③意欲的特徴…「エネルギッシュな」「冷たい」などのイメージ

3つのイメージに共通しているのは、全ての特徴は目には見えないものであるということです。しかし、目に見えないもので、私たちは一体どうやって相手の印象を決めているのでしょうか?

目で見て判断できるのは相手の表情、言葉遣い、しぐさなどですが、見ているだけでは、それらの情報からその人を判断することはできません。

例えば相手のことを「頭が良い」と判断するには、自分の経験や知識に比べて、その人が知っている言葉の種類の多さや言葉遣いなどから、「言葉の表現が豊か」「論理的な話し方をする」というように考えて「この人は頭が良い」と判断することになります。

つまり人は相手の目で見える情報に、自分の経験や知識で意味づけをし、相手を判断していることになります。そして、人はこれらの判断を一度行うと、その思いはそのまま変わりにくいという性質があります。だからこそ就職活動などの面接では「第一印象が大切」と言われることが多いのです。

第一印象で全てが決まる?


第一印象がいくら大切だといっても、私たちは日常生活の中で人について第一印象だけで、その人の全体像を判断している訳ではありません。

人は相手と関わり続けていく中で、自分が持っている知識に五感から取り入れた情報を結びつけながら、徐々に相手の全体像をつくりあげる作業を無意識のうちに行っています。

例えば第一印象で「暖かい人」という印象を抱いたとします。すると、自分自身の知識や経験の情報から、暖かい人は「寛容」「優しい」などの判断が連想される場合があります。こうした判断を一度でも下した場合、人はその人に対して「冷たい」など暖かさとは反対の判断は生まれにくくなります。

この結びつけはその人の生活環境や人間観、価値観によってそれぞれ異なりますが、人はわずかな限られた情報を手掛かりに、無意識でイメージの結びつけを心の中で行っています。

第一印象は何秒で決まる?


アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、第一印象は3~5秒で決まるといわれています。メラビアンの法則によると第一印象は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」から決まるといわれています。

言語情報とは、話し手の言葉の意味、内容のことを指します。聴覚情報とは、話し手の声の大きさやトーン、話し方、話す速さのことを指します。視覚情報は、話し手の見た目、表情や目線、態度やしぐさのことを指します。それぞれの情報の影響力は、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合になっています。

言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションとは?


言語コミュニケーションとは、言葉を使うコミュニケーションのことで、手紙やメールのコミュニケーションが挙げられます。

非言語コミュニケーションとは、聴覚情報、視覚情報によるコミュニケーションのことを指し、メラビアンの法則では、人が受け取る情報の9割以上を占めているといいます。

言語コミュニケーションのみだと言葉だけから判断するため、誤解を招きやすいなどのデメリットがありますが、言葉に聴覚や視覚の情報が加わることで、より多くの情報を相手に与えることができ、コミュニケーションがスムーズに進みやすくなるメリットがあります。

メラビアンの法則は正しい?


2005年に日本でベストセラーとなった「人は見た目が9割」という書籍は、メラビアンの法則を元にして書かれたといわれています。実際にメラビアンの法則では、視覚情報が55%と他の情報に比べて高い数値を表しています。

しかしメラビアンの法則の実験は、話し手が話の内容に対して、矛盾した行動を取ったときに、聞き手はどの情報を優先して、話し手の印象を判断しているのかという内容でした。

例えば話し手の会話の内容が面白い、嬉しいといった雰囲気の話であるのに、表情が暗かったり、声のトーンが低かったりすると、聞き手は話し手のことをどう思うのか?という実験です。

つまりこの実験では、話し手が嘘を吐いているような態度を取っているわけです。こうした嘘を吐いているような態度を取っているときに、聞き手は話し手のどこを見て、相手の本心を見抜こうとしているのかという実験になります。

つまりメラビアンの法則の結果は、特殊な状況で行われた実験結果の数値であることから、私達の普段の日常生活に当てはまるとは言い切れません。つまりメラビアンの法則の実験内容を考えると、必ずしも人は言葉より見た目が重要とは言い切れないことが分かります。

このような実験の前提を無視してメラビアンの法則の結果だけが拡大解釈されるようになり、「人は見た目で決まる」というような語弊が生まれたと考えられます。

メラビアンの法則は役立つ?


メラビアンの法則は特殊な状況で行われた実験ですが、日常生活の中でもメラビアンの法則を意識したコミュニケーションを意識することで、よりスムーズなコミュニケーション方法として活用することができます。日常生活の中では、メラビアンの法則の視覚情報・聴覚情報・言語情報を統一させることで、相手に誤解を与えにくくなります。

例えば「ありがとうございます」とお礼を言うときに、相手と目を合わせず、声も小さいと、相手に自分が感謝している気持ちが伝わりにくくなり、相手に不快感や怒りを与えることになってしまいます。

恥ずかしくて人と目を合わせられない、声が小さくなるという人もいますが、目を合わせなかったり、聞こえにくい声で話している方が失礼な態度だと思われやすいです。

第一印象で悪い印象を持たれやすい人は、自分の気持ちばかりを心配して、相手への配慮に欠けている場合があります。人と会話するときは、自分の心配をする前に、自分がされたら失礼だと思うような態度は控えるように心がけてみてください。

言語情報は重要ではない?


メラビアンの法則によると言語情報の占める割合は7%と低いですが、これは言語情報が大切でないという意味ではありません。特にビジネスでは、言葉選びについては重要性が高くなってきます。

言葉選びや話の内容を間違えると、聞き手に誤解を与えてしまい、いくら非言語コミュニケーションが優れていたとしても、話の内容が伴っていなければ全てが台無しになってしまいます。ビジネスでの発言は文字情報として資料に残される場合があるので、その場での適切な言葉選びをするように気を付けることが大切です。

第一印象は変えられない?


第一印象で否定的な印象を抱かれてしまったらもうその印象は変えられないのかといえば、必ずしもそういう訳ではありません。場合によっては否定的な印象を抱かれた人の方が、肯定的な印象を抱かれている人よりも有利になる場合もあります。

例えば否定的な印象を抱かれている人が良い行いをすると、「この人って実は良い人だったんだ」とギャップ効果が生まれ、普通の人が良いことをするよりも良い印象を抱かれやすい特徴があります。

見た目や言葉遣いなどでマイナスイメージの第一印象を抱かれやすい人は、普通の人がすれば何でもないようなことでも、ギャップ効果が生まれることで相手に強く良い印象を残す場合があります。

ギャップ効果については、こちらの記事で詳しくご説明しています。
ギャップ効果の心理は?恋愛にも応用できる?

第一印象が全てではない


人は第一印象を抱くものだとしても、第一印象でその人の全てが決まることはあり得ません。もし全ての人が第一印象で判断されてしまうというのであれば、人間が感情のないロボットのような、一方通行の判断力しかないと言っているようなものです。

もし第一印象でしか人を判断できないのであれば、そういった人は柔軟な考えができない、思慮が浅い、多角的な判断ができない人といえます。

「人は第一印象で全てが決まる」というような書籍もたくさん販売されていますが、第一印象で全てが決まってしまうと思い込むことで、第一印象を良くしなければと思ってかえって緊張してしまい、思うような自分が出せなくなるデメリットもあります。

相手の失礼に当たらないような言葉、行動、身だしなみに気を付ければ、第一印象で悪く思われることはほとんどありませんので、人は第一印象で全てが決まるというような極端な考えは持たない方が賢明といえます。

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